男子第92回・女子第68回を迎えた「2024年度 全日本学生テニス選手権大会」(インカレ)が8月12日から三重県・四日市テニスセンターで開催され、大会最終日の18日に各種目の決勝が行なわれた。女子シングルスは第6シードの山口花音(関西大学3年)が第12シードの中島玲亜(慶應義塾大学3年)を6-2、6-2で下し、初優勝を飾った。
山口は春夏の関西学生を幾度も制しているが、全国タイトルには縁がない。中島は全国選抜高校や全国中学で決勝に進出したが優勝には届かなかった。共に初の全国タイトルを懸けた決勝は、気持ちのこもった戦いとなったが、そんな中でも冷静にラリーを組み立てた山口に軍配が上がった。
中島は前日の準決勝で慶大同期の第1シード大橋麗美華と対戦し、捨て身の攻撃で4時間超の激戦をモノにしていた。「勝ったことがない、1つ上の存在に食らいつき、思い切ってできたのが勝ちにつながった。しっかり走り勝てた」と自信を手にして、決勝に臨んだ中島。しかし、本人は言い訳にしなかったが、動きやショットに疲労の色が見えたのは確かだった。
山口は持ち前の巧みな配球で、そんな中島の攻撃をかわした。「自分は相手に打たせて、そこからカウンターとかを狙っていくタイプなので、今日もそういう作戦で行った」と山口。高い弾道のスピンを深く打って相手を下がらせ、返球が甘くなると角度をつけてコーナーに打ち込む。一発でウイナーを奪うほどの球威ではないが、攻めたい相手をじらすようなボールで、中島のミスを引き出した。
「自分は"打ちじこり"をして最後に決めるスタイルだが、相手の緩急を使ったペースに崩されて、決めきる前にミスが出てしまった」と中島。
2人はこれまでにもよく対戦しており、山口によれば過去2勝2敗、大学に入ってからも1勝1敗で互角という。直近の対戦は昨年末のインカレ室内で、中島が勝っている。山口はそうした経験から学び、この日の作戦を構築した。「中島さんはすごくアグレッシブなテニスをする。だから今日は最初のゲームから色んな球を混ぜて、相手に打たせないプレーをした」
今までの反省から立てた山口の作戦は、偶然かもしれないが、疲れが残るこの日の中島には一番効くものだった。第1、第2セットとも2ブレークした山口は、自身のサービスは全てキープし、6-2、6-2で完勝した。
初めての全国タイトルを「すごく憧れていたこのインカレで取れて、とてもうれしい」と喜んだ山口。殊勲の決勝進出にも「また決勝で勝ち切れない、自分の弱さがあるのが悔しい」と言った中島。結果はともあれ、2人のインカレへの熱い思いが凝縮された、スコア以上に素晴らしい決勝だった。
なお、女子ダブルス決勝は第1シードの齋藤優寧/金子さら紗(早稲田大学4年/3年)がケガで棄権し、小畑莉音/平田葵(早大3年/3年)が初優勝。2人ともテニス人生で単複通じ初タイトルとのことで、「苦しい試合も多かったけど、全国優勝で終われていい経験になった」(平田)、「自分たちらしいプレーで決勝まで元気良く来られたのは自信につながる」(小畑)と喜びを語っていた。
◆女子シングルス決勝
山口花音(関大)[6] 6-2 6-2中島玲亜(慶大)[12]
◆女子ダブルス決勝
小畑莉音/平田葵(早大)W.O. 齋藤優寧/金子さら紗(早大)[1]
※[ ]内の数字はシード順位
取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)
【画像】2024年度全日本学生テニス選手権、シングルス&ダブルス決勝スナップ集
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山口は春夏の関西学生を幾度も制しているが、全国タイトルには縁がない。中島は全国選抜高校や全国中学で決勝に進出したが優勝には届かなかった。共に初の全国タイトルを懸けた決勝は、気持ちのこもった戦いとなったが、そんな中でも冷静にラリーを組み立てた山口に軍配が上がった。
中島は前日の準決勝で慶大同期の第1シード大橋麗美華と対戦し、捨て身の攻撃で4時間超の激戦をモノにしていた。「勝ったことがない、1つ上の存在に食らいつき、思い切ってできたのが勝ちにつながった。しっかり走り勝てた」と自信を手にして、決勝に臨んだ中島。しかし、本人は言い訳にしなかったが、動きやショットに疲労の色が見えたのは確かだった。
山口は持ち前の巧みな配球で、そんな中島の攻撃をかわした。「自分は相手に打たせて、そこからカウンターとかを狙っていくタイプなので、今日もそういう作戦で行った」と山口。高い弾道のスピンを深く打って相手を下がらせ、返球が甘くなると角度をつけてコーナーに打ち込む。一発でウイナーを奪うほどの球威ではないが、攻めたい相手をじらすようなボールで、中島のミスを引き出した。
「自分は"打ちじこり"をして最後に決めるスタイルだが、相手の緩急を使ったペースに崩されて、決めきる前にミスが出てしまった」と中島。
2人はこれまでにもよく対戦しており、山口によれば過去2勝2敗、大学に入ってからも1勝1敗で互角という。直近の対戦は昨年末のインカレ室内で、中島が勝っている。山口はそうした経験から学び、この日の作戦を構築した。「中島さんはすごくアグレッシブなテニスをする。だから今日は最初のゲームから色んな球を混ぜて、相手に打たせないプレーをした」
今までの反省から立てた山口の作戦は、偶然かもしれないが、疲れが残るこの日の中島には一番効くものだった。第1、第2セットとも2ブレークした山口は、自身のサービスは全てキープし、6-2、6-2で完勝した。
初めての全国タイトルを「すごく憧れていたこのインカレで取れて、とてもうれしい」と喜んだ山口。殊勲の決勝進出にも「また決勝で勝ち切れない、自分の弱さがあるのが悔しい」と言った中島。結果はともあれ、2人のインカレへの熱い思いが凝縮された、スコア以上に素晴らしい決勝だった。
なお、女子ダブルス決勝は第1シードの齋藤優寧/金子さら紗(早稲田大学4年/3年)がケガで棄権し、小畑莉音/平田葵(早大3年/3年)が初優勝。2人ともテニス人生で単複通じ初タイトルとのことで、「苦しい試合も多かったけど、全国優勝で終われていい経験になった」(平田)、「自分たちらしいプレーで決勝まで元気良く来られたのは自信につながる」(小畑)と喜びを語っていた。
◆女子シングルス決勝
山口花音(関大)[6] 6-2 6-2中島玲亜(慶大)[12]
◆女子ダブルス決勝
小畑莉音/平田葵(早大)W.O. 齋藤優寧/金子さら紗(早大)[1]
※[ ]内の数字はシード順位
取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)
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