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国内テニス

強打に加え戦略面での成長も見せた吉本菜月が初のインカレ女王に!「かけ引きして勝てたのは本当にうれしい」<SMASH>

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2023.08.22

今シーズン急成長している吉本菜月が初のインカレ女王の座に就いた(左/右上)。準優勝は大橋麗美華(右下)。写真:滝川敏之

今シーズン急成長している吉本菜月が初のインカレ女王の座に就いた(左/右上)。準優勝は大橋麗美華(右下)。写真:滝川敏之

 男子第91回・女子第67回を迎えた「2023年度 全日本学生テニス選手権大会」(インカレ)が8月14日から三重県・四日市テニスセンターで開催され、大会最終日の21日に各種目の決勝が行なわれた。女子シングルスは、第4シードの吉本菜月(筑波大学2年)が第8シードの大橋麗美華(慶應義塾大学2年)を7-5、6-0で破り、初のインカレ女王の座に就いた。

 ジュニア時代から強打に定評がある吉本だが、今回はかけ引きのうまさが光った優勝だった。そしてそれこそが最近の彼女の成長を如実に示す部分でもあろう。

 見た目よりも重くて伸びる球質のスピンボールを持ち球にする吉本と、小柄ながら早いテンポで叩くフラットドライブが武器の大橋。それが真っ向からぶつかり合い、第1セットは激しい強打の応酬となった。

 パワーでは上回る吉本だが、フットワークの良い大橋に際どいボールを拾われ、ミスも多くなる。5-5までは互いに3ブレークずつして譲らない。それでも攻め続けた吉本が何とか7-5で振り切ったのだが、内容的にはどちらに流れが行ってもおかしくない試合展開だった。
 
 第2セット、「もっと自分から攻めようと思った」とギアを上げた大橋に対し、吉本は意図的に打ち合いを避けた。

「第1セットは取ってはミスの繰り返しだった。第2セットで相手が打ってきたので、自分がリスクを取って打つよりも、勝つテニスに変えた。相手のバックに集め、打たせてミスさせた」と吉本は振り返る。

 一見弱気にも見えるが、今日の試合ではこれが見事にハマった。大橋は単複両方で決勝に残っており、大会終盤にきて体力的に消耗していた。「吉本さんが下がってラリーをつなげてきたため、こちらが打ちすぎてミスしてしまった」と大橋。「いつもなら叩くボールもコントロール重視で行った」という吉本の作戦が功を奏した。

 試合が進むにつれ大橋の足は止まり、吉本が一気に走る。何と第2セットは6-0で吉本が奪い、初の頂点に駆け上った。「本当にうれしい。色々考えて、かけ引きして勝てたのは本当にうれしい」と何度も喜びを口にした。
 
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