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シナーの全米優勝の鍵をコーチのケーヒル氏が解き明かす「彼にはチャンピオンのメンタリティがある」<SMASH>

中村光佑

2024.09.10

全米優勝のシナーと喜びを分かち合うコーチのシモーネ・バニョッツィ氏とケーヒル氏(左から)。(C)Getty Images

「全米オープンテニス」の男子シングルスで殊勲の四大大会2勝目を飾った世界ランク1位のヤニック・シナー(イタリア)。そのコーチを務める名将ダレン・ケーヒル氏(オーストラリア/58歳)が決勝後に『ESPN』のインタビューに答え、新たなマイルストーンを築き上げたシナーのメンタリティを称賛した。

 今年1月の全豪オープンで四大大会初優勝を達成し、6月にはキャリア初となる世界1位の座に就いたシナー。第1シードで出場した今大会でも初戦から順調に勝ち上がると、現地9月8日に行なわれた決勝では、自身初の四大大会決勝進出を果たした地元勢のテイラー・フリッツ(アメリカ/大会時12位)に6-3、6-4、7-5で勝利。イタリア人男子選手として初めてとなる全米オープン優勝を成し遂げた。

 2022年7月にチームに加わって以来、シナーの成長をそばで支え続けてきたケーヒル氏は、シナーがダニール・メドベージェフ(ロシア/現5位)に2セットダウンから大逆転勝利を収めた全豪決勝での経験が今回の全米決勝に生きたのではないかと主張する。

 一方で「今日の彼は準備ができていた」ともコメント。続けてケーヒル氏は全米表彰式に登場した元世界王者のアンドレ・アガシ氏(アメリカ/54歳)と交わした試合前の会話の内容を踏まえつつ、愛弟子が持つ"勝者のメンタリティ"を大いに称賛した。ちなみにケーヒル氏は現役時代のアガシ氏を指導した経験もある。
 
「全豪と今大会では状況に違いがあった。全豪で初めて決勝に臨んだ時の彼(シナー)は緊張したと思う。なぜなら彼にとっては初めての四大大会決勝だったからね。そのことがさらなる緊張を生んでいたと思う。全豪決勝までにメドベージェフには何度か勝っていたから、期待値もさらに大きかったかもしれないね。その中で壁を乗り越えたこと、どんなことがあっても対処できるという信じられないほどの自信が生まれたのだろう」

「今朝の彼は良い練習をした。また我々はロッカールームでアガシ氏と話したが、その時彼はシナーのプレーやメンタル、そして大事な場面での落ち着きぶりについて話していた。第3セットでそれが試された時でさえ、私はシナーが『立て直して逆転できる』と思っていると感じていたが、実際にそうなったわけだ。だから彼にはチャンピオンのメンタリティがある。それは多くの選手が(まだ)持っていないものだと思う。特定の選手にはそれがあるのは確かだが、彼は生来それを持っている。そのような苦しい場面も大好きなのだろう」

 再びイタリアテニス界に新たな歴史の1ページを刻み込んだシナー。今季の残りの大会ではどのようなプレーを見せてくれるだろうか。まだ少々気は早いが、来年1月の全豪での大会連覇も期待したいものだ。

文●中村光佑

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