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ウインブルドンが来年から線審を置かず電子判定を全面導入!「伝統と革新のバランスを取る」と大会責任者<SMASH>

中村光佑

2024.10.10

伝統のウインブルドンも時代に応じて変革する。来年から電子判定を全面導入し、線審は置かないことに。(C)Getty Images

 テニスの四大大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/芝コート)は10月9日に大会公式サイトを更新。来年の大会から線審を廃止し、電子判定を導入すると正式に発表した。

 四大大会ではすでに全豪オープンと全米オープンで電子判定が採用されており、ATPツアーでも来シーズンから全面的に同技術を導入する予定だ。

 一方、140年以上もの歴史と伝統を誇るウインブルドンは2007年から判定への異議申し立てができる「チャレンジ」を採り入れているものの、線審の廃止には後ろ向きな姿勢を見せてきた。それを考えると同大会での電子判定全面導入はテニス界における1つの変革と言えるだろう。

 公式サイトによると、電子判定は本戦だけではなく予選でも採用され、これまで線審が担ってきたショットの「アウト」とサービスの「フォールト」のコールをカバーするという。ウインブルドンの最高経営責任者を務めるサリー・ボルトン氏はテクノロジー導入に舵を切った経緯を説明するとともに、長きにわたり大会運営に多大な貢献を果たした線審への感謝の言葉を述べた。

「電子判定採用の決定は、多くの検討プロセスと協議を経て下されました。今年のウインブルドン選手権で実施したテストの結果を検討し、電子判定が十分に堅牢であると判断しました。判定の精度を最大限に高めるための重要なステップを踏むのには最適な時期だと考えています。選手たちにとっては、他のツアーの大会でプレーする時と同じ条件が提供されることになります」
 
「我々はウインブルドンで伝統と革新のバランスを取る責任を非常に真剣に受け止めています。線審は数10年にわたり、ウインブルドン選手権の審判体制において中心的な役割を果たしてきました。我々は彼らの貴重な貢献を認識しており、その献身と奉仕に感謝しています」

 変更点は線審の廃止だけではない。来年からは大会13日目と最終日に組まれる男女シングルス決勝の開始時刻も、従来の14時から16時(日本時間22時→24時)に変わると発表。一方で男女シングルス準決勝(11、12日目の13時30分)と混合ダブルス決勝(11日目の第3試合)のスケジュールは据え置きとなる。

 これについてボルトン氏は「我々は関係者全員の体験を向上させるという野心と共に、選手権の最終盤のスケジュールを調整しました。決勝でプレーするダブルスの選手はスケジュールがより明確になり、ファンも日々の試合を楽しみながら、男女シングルス決勝までのクライマックスをとくと堪能できます。チャンピオンたちは、世界中から可能な限り多くの観客が集まった中で、優勝の栄冠を手にすることになるでしょう」とのコメントを残した。

 2025年のウインブルドンは6月30日(月)から7月13日(日)まで行なわれる。

文●中村光佑

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