10月21~27日にかけ、東京・有明テニスの森で開催中の「東レ パン パシフィック オープンテニストーナメント 2024」(ハードコート/WTA500)は、10月24日にシングルス2回戦他が行なわれた。日本勢では、世界ランク57位の内島萌夏が、大会第1シードで同7位のジェン・チンウェン(中国)に挑戦。競った第1セットを落とすと、第2セットはパリ五輪の金メダリストに押し切られ、5-7、0-6の敗戦となった。
「いつか、対戦してみたいと思っていた選手」
2回戦のカードが決まった時、内島はジェン・チンウェンについて、そのように表現した。それは、普段からドローを一切見ることなく、「憧れの選手」等に言及することも少ない彼女にしては、珍しいコメント。「対戦したい」と思っていた理由としては、次のように説明した。
「トッププレーヤーの一人というのもあるし、同じアジア人選手として、ずっと刺激を受けている選手の一人でもある」
年齢は、ジェン・チンウェンが1歳年少の22歳。身長では内島が174センチで、ジェン・チンウェンは178センチ。世代も体格的にも近いアジア人のフロントランナーに、内島は自身の可能性をも投影しているようだった。
「自分のテニスがどこまで通用するのか」と内島が挑んだ第1セットは、激しい打ち合いが展開された。先にブレークしたのは、世界7位。だがその直後に、内島もゲームを取り返した。ジェン・チンウェンはミスがやや多く、強烈なリターンも少しずつラインを割る。第10ゲームまでは、並走状態が続いた。
ただ互角に見える展開の中でも、心身にゆとりがあったのは、やはり大会第1シードだ。「コートと相手のボール慣れること」をまずは優先し、決して、ボールを入れにいくようなことはしない。ラケットを振り抜き強打を続けることで、最適なタイミングを測っているようだった。
そのジェン・チンウェンの姿勢とボールの威力は、ポイントにはならずとも、内島に圧力を掛けていく。
「ミスにはなっているけれど、これが入ってきたら、持っていかれそう」
スコア的には競りつつも、内島はそんなプレッシャーも覚えていたと明かした。それでも「競っていけば、どうなるかわからない」と自分を鼓舞したが、第1セットのゲームカウント5-5でブレークを許す。そこからはジェン・チンウェンが、気持ちよくボールを打ち始めた。
さらには、「ネットに出たりと、やりたいと思っていたことにもトライした」と、パリ五輪金メダリストは振り返る。
「もっと上に行くために、自分のテニスに新たなオプションを増やさなくてはいけない」
内島にとって、自身を測る物差し的な一戦は、世界7位にとって、次のステージへのステップでもあった。
スコア的には差のついた一戦ではあるが、「対戦したい」と願った選手と手合わせし、学ぶことも多かったと内島は振り返る。
「相手は、サーブやリターンの後の3球目の仕掛けが凄く早かった。自分も、ああいう風に早い段階から攻撃的にやっていきたいなと思います。ボールの質ではあまり負けてないと感じていたので、そこは自信にしていきたい」
「躍動感もすごくある選手だなって感じたし、自分と少し似てるとも思った。フォアで作っていくタイプだし、自分がこれから目指していく選手の1人になったのかなって思います」
目指す地点も明確になり、その上での自身の現在地も知ることができた対戦。それこそが内島が、今大会から持ち帰った最大の収穫だ。
取材・文●内田暁
【動画】内島が世界7位ジェン・チンウェンに挑んだ「東レPPOテニス2024」2回戦ハイライト
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「いつか、対戦してみたいと思っていた選手」
2回戦のカードが決まった時、内島はジェン・チンウェンについて、そのように表現した。それは、普段からドローを一切見ることなく、「憧れの選手」等に言及することも少ない彼女にしては、珍しいコメント。「対戦したい」と思っていた理由としては、次のように説明した。
「トッププレーヤーの一人というのもあるし、同じアジア人選手として、ずっと刺激を受けている選手の一人でもある」
年齢は、ジェン・チンウェンが1歳年少の22歳。身長では内島が174センチで、ジェン・チンウェンは178センチ。世代も体格的にも近いアジア人のフロントランナーに、内島は自身の可能性をも投影しているようだった。
「自分のテニスがどこまで通用するのか」と内島が挑んだ第1セットは、激しい打ち合いが展開された。先にブレークしたのは、世界7位。だがその直後に、内島もゲームを取り返した。ジェン・チンウェンはミスがやや多く、強烈なリターンも少しずつラインを割る。第10ゲームまでは、並走状態が続いた。
ただ互角に見える展開の中でも、心身にゆとりがあったのは、やはり大会第1シードだ。「コートと相手のボール慣れること」をまずは優先し、決して、ボールを入れにいくようなことはしない。ラケットを振り抜き強打を続けることで、最適なタイミングを測っているようだった。
そのジェン・チンウェンの姿勢とボールの威力は、ポイントにはならずとも、内島に圧力を掛けていく。
「ミスにはなっているけれど、これが入ってきたら、持っていかれそう」
スコア的には競りつつも、内島はそんなプレッシャーも覚えていたと明かした。それでも「競っていけば、どうなるかわからない」と自分を鼓舞したが、第1セットのゲームカウント5-5でブレークを許す。そこからはジェン・チンウェンが、気持ちよくボールを打ち始めた。
さらには、「ネットに出たりと、やりたいと思っていたことにもトライした」と、パリ五輪金メダリストは振り返る。
「もっと上に行くために、自分のテニスに新たなオプションを増やさなくてはいけない」
内島にとって、自身を測る物差し的な一戦は、世界7位にとって、次のステージへのステップでもあった。
スコア的には差のついた一戦ではあるが、「対戦したい」と願った選手と手合わせし、学ぶことも多かったと内島は振り返る。
「相手は、サーブやリターンの後の3球目の仕掛けが凄く早かった。自分も、ああいう風に早い段階から攻撃的にやっていきたいなと思います。ボールの質ではあまり負けてないと感じていたので、そこは自信にしていきたい」
「躍動感もすごくある選手だなって感じたし、自分と少し似てるとも思った。フォアで作っていくタイプだし、自分がこれから目指していく選手の1人になったのかなって思います」
目指す地点も明確になり、その上での自身の現在地も知ることができた対戦。それこそが内島が、今大会から持ち帰った最大の収穫だ。
取材・文●内田暁
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