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海外テニス

なぜシフィオンテクはドーピング処分が軽減されたのか。不正監視団体が詳細を報告<SMASH>

中村光佑

2024.12.02

シフィオンテクのドーピング問題についての詳細を不正監視団体「ITIA」が発表。処分軽減の理由が明らかになった。(C)Getty Images

シフィオンテクのドーピング問題についての詳細を不正監視団体「ITIA」が発表。処分軽減の理由が明らかになった。(C)Getty Images

 今年8月のドーピング検査で禁止薬物が検出されたものの、約1カ月の出場停止処分に留まりほぼ無罪判定となった女子テニス世界2位のイガ・シフィオンテク(ポーランド)。寛大な裁定に対する反発の声が続々と上がっている中、テニスの不正行為を監視する第三者機関「ITIA」が公式声明を発表し、事の詳細を報告した。

 8月中旬の「シンシナティ・オープン」(アメリカ/WTA1000)参戦のため会場入りしたシフィオンテクはパリ五輪出場直後だったこともあってなかなか眠れず、早朝に予定されていた競技外検査の数時間前に時差ぼけおよび睡眠障害解消のため、メラトニン錠剤を2~3錠服用。

 直後に受けた検査の結果が9月12日に届き、提出した2つのサンプルのうちの1つから禁止物質「トリメタジジン(以下TMZ)」が検出されたとの通知を受けた。

 これを受けて2日後の14日、シフィオンテクは検査したサンプルが禁止物質に汚染されていた可能性を排除するため、もう片方のサンプルについても追加検査を要求したが、そのサンプルからもTMZが検出されたという。これを受けてITIAはシフィオンテクに通告日の12日から10月4日までの約1カ月の暫定出場停止処分を科したとのことだ。
 
 これに対しシフィオンテク側は9月22日に上記の出場停止処分の解除を申請。禁止薬物の推定される出所については明らかにしなかったものの、汚染された製品を通じて意図せずTMZを摂取したと主張した。しかし直後にITIAは処分の解除には証拠が不十分であると通知したという。

 26日の夜にシフィオンテク側は処分解除の主張に関して追加情報を提供。綿密な調査の結果、シフィオンテクの陽性反応は自身が服用したメラトニン剤にTMZが混入したことが原因だったと判明。医療用に準じた医薬品とされている同薬剤はポーランド製で、シフィオンテクのチームメンバーが購入したものだった。ITIAは同じ製品のパッケージを独自に入手しようとしたが、製薬会社からは回答を得られなかったとしている。

 10月4日には予定通り出場停止処分が解除されたシフィオンテクだったが、ITIAは通知の効力が残っているとして、11日にシフィオンテクへ再度違反を通知。23日にシフィオンテク側は異議申し立てを決行し、独立審理機関に解決を委ねた。

 そこからさらに調査を重ね、パリ五輪期間中の8月1日と2日に採取されたサンプル、および全米オープン期間中の8月27日採取したサンプルでは、TMZは検出されていなかったことが明らかに。この時点でシフィオンテクが眠れない時だけメラトニン錠を服用していることがある程度証明された。
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