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「全部で9万ドル使った」シフィオンテク、ドーピング疑惑を晴らすための弁護費用を明かす<SMASH>

中村光佑

2024.12.08

身に覚えのないドーピング問題発覚でショックを受けたというシフィオンテクは、すぐに専門の弁護士を雇い問題解決に向けて動いたという。(C)Getty Images

 今年8月のドーピング検査で禁止薬物が検出されたものの、約1カ月の出場停止処分に留まりほぼ無罪判定となった女子テニス世界2位のイガ・シフィオンテク(ポーランド/23歳)。先日自国のテレビ番組『Fakty po Faktach』に出演し、違反通告を受けた当時の心境を語った。

 8月中旬の「シンシナティ・オープン」(アメリカ/WTA1000)参戦のため会場入りしたシフィオンテクはパリ五輪出場直後だったこともあってなかなか眠れず、早朝に予定されていた競技外検査の数時間前に時差ぼけおよび睡眠障害解消のため、母国ポーランドで製造されたメラトニン錠剤を2~3錠服用。直後に受けた検査の結果が9月12日に届き、提出した2つのサンプルのうちの1つから禁止物質「トリメタジジン(以下TMZ)」が検出されたとの通知を受けた。

 しかし最終的に陽性反応はメラトニン錠剤にトリメタジジンが混入したことが原因と判明。本人に重大な過失はなかったため、出場停止処分は9月12日から10月4日までの1カ月となり、シフィオンテク側はこれを受け入れた。処分はすでに全面解除され、今のところ2025年シーズンの試合出場に影響はない。

 比較的軽微な処分で済んだシフィオンテク。禁止薬物が検出されたと知った当時のつらい心境をこう語っている。
 
「過激に反応してしまった。理解ができないこととパニックになった気持ちが入り混じった感じだった。大泣きもしたわ。通常、選手が何らかの通知を受ける場合はメールで届くけど、軽いお知らせだと思って開いたところ、それははるかに深刻な内容だった。

 もう(とめどなく)涙が溢れてきて、最後までメールを読むことができなかった。その場で私と一緒にいた人たちからは、私の反応がまるで誰かが亡くなった時のような感じだったと言われた。あの時は、一人じゃなくてよかった。そのメールで何が通告されたのか彼らに見せることができたから」

 これまでにツアー22勝を挙げるなど幾多の輝かしい功績を手中に収めているシフィオンテクはいち早く身の潔白を証明すべく、「専門の弁護士を雇った」という。続けて経済的に恵まれていない他のアスリートたちが直面しなければならない問題への意識を高めるためにトータルの使用金額を公表したいとし、下記のようにコメントした。

「(幸いにも)これまでに多くのお金を稼いでいたことが、私を助けてくれた。そのおかげで、ためらうことなく無実の証明に時間を費やすことができた。多くのアスリートにはこうした機会がないことは私もわかっているし、その事実は彼らに問題解決を躊躇させる原因にもなると思う。私は全ての手続きで費用を負担し、約9万ドル(約1350万円)を使った」

 ただし一連の決定に対してはまだWADA(世界反ドーピング機関)またはPOLADA(ポーランドの反ドーピング機関)が控訴する権利を有している。今後の動向に注目が集まる。

文●中村光佑

【動画&画像】シフィオンテクが公開したドーピング騒動に関する説明

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