今年8月のドーピング検査で禁止薬物が検出されたものの、約1カ月の出場停止処分に留まりほぼ無罪判定となった女子テニス世界2位のイガ・シフィオンテク(ポーランド/23歳)。コーチを務めるウィム・フィセッテ氏(ベルギー/44歳)は一連の流れから反ドーピングシステムを改正すべきだと自身の考えを主張する。
8月中旬の「シンシナティ・オープン」(アメリカ/WTA1000)参戦のため会場入りしたシフィオンテクはパリ五輪出場直後だったこともあってなかなか眠れず、早朝に予定されていた競技外検査の数時間前に時差ぼけおよび睡眠障害解消のため、母国ポーランドで製造されたメラトニン錠剤を2~3錠服用。直後に受けた検査の結果が9月12日に届き、提出した2つのサンプルのうちの1つから微量ながらも禁止物質「トリメタジジン(血管を広げて血流を良くする物質)」が検出されたとの通知を受けた。
これを受けてシフィオンテク側はすぐさま異議申し立てを決行。最終的に陽性反応はメラトニン錠剤にトリメタジジンが混入したことが原因だと判明し、本人に重大な過失はなかったと認められた。周知の通り9月12日から10月4日までの約1カ月にわたる出場停止処分もすでに全面解除されている。
ポーランドメディア『Rzeczpospolita』の取材記事によると、今年9月に大坂なおみ(元1位/現58位)と袂を分かち、直後にシフィオンテクのコーチに就任したフィセッテ氏は、シフィオンテクが禁止薬物を故意に摂取していないにもかかわらず出場停止処分を科されたことを不満に思っている様子だ。また無実であるはずの選手が悪い印象を持たれないよう、反ドーピングシステムの規定を変更すべきだと持論を展開した。
「今日の技術はとにかく非常に精密で、彼女(シフィオンテク)が経験したような状況(汚染された服用薬からの禁止薬物検出)は誰にでも起こり得る。だから反ドーピングシステムのルールを変える必要があると思う。
(確かに)テニス選手は、自分が食べるものや握手をする相手にまで注意を払わなければならないが、そうした風潮が行き過ぎるのは良くない。我々は、本当に"クリーン"ではないものを摂取している人物を取り締まるべきだ。一方で無実の人たちが不当な扱いを受けることがあってはならない」
どうやらすでに規定変更の動きは始まっているようだ。海外メディア『UBITENNIS』によると、WADA(世界反ドーピング機関)が2027年版の反ドーピングシステムおよび国際基準の改訂作業を進めているという。
改訂版では選手が意図せずに禁止物質を摂取してしまったケースを適切に管理することを目的として、"重大な過失がない場合の資格停止の免除または期間の短縮"を定めるとのことだ。
文●中村光佑
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これを受けてシフィオンテク側はすぐさま異議申し立てを決行。最終的に陽性反応はメラトニン錠剤にトリメタジジンが混入したことが原因だと判明し、本人に重大な過失はなかったと認められた。周知の通り9月12日から10月4日までの約1カ月にわたる出場停止処分もすでに全面解除されている。
ポーランドメディア『Rzeczpospolita』の取材記事によると、今年9月に大坂なおみ(元1位/現58位)と袂を分かち、直後にシフィオンテクのコーチに就任したフィセッテ氏は、シフィオンテクが禁止薬物を故意に摂取していないにもかかわらず出場停止処分を科されたことを不満に思っている様子だ。また無実であるはずの選手が悪い印象を持たれないよう、反ドーピングシステムの規定を変更すべきだと持論を展開した。
「今日の技術はとにかく非常に精密で、彼女(シフィオンテク)が経験したような状況(汚染された服用薬からの禁止薬物検出)は誰にでも起こり得る。だから反ドーピングシステムのルールを変える必要があると思う。
(確かに)テニス選手は、自分が食べるものや握手をする相手にまで注意を払わなければならないが、そうした風潮が行き過ぎるのは良くない。我々は、本当に"クリーン"ではないものを摂取している人物を取り締まるべきだ。一方で無実の人たちが不当な扱いを受けることがあってはならない」
どうやらすでに規定変更の動きは始まっているようだ。海外メディア『UBITENNIS』によると、WADA(世界反ドーピング機関)が2027年版の反ドーピングシステムおよび国際基準の改訂作業を進めているという。
改訂版では選手が意図せずに禁止物質を摂取してしまったケースを適切に管理することを目的として、"重大な過失がない場合の資格停止の免除または期間の短縮"を定めるとのことだ。
文●中村光佑
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