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「彼のためにも良い結果を残したいと思っていた」全豪2連覇達成のシナーがチームから離れる恩師への思いを明かす<SMASH>

中村光佑

2025.01.28

全豪優勝を決めたシナー(右)と熱い抱擁を交わすコーチのケーヒル氏(左)。(C)Getty Images

 現地1月26日に行なわれたテニス四大大会「全豪オープン」の男子シングルス決勝でアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/世界ランキング2位)との頂上決戦を制し、殊勲の大会連覇を果たした23歳の若き王者、ヤニック・シナー(イタリア/同1位)。試合後の記者会見では自身のコーチを務めるダレン・ケーヒル氏に言及し、その存在の大きさを語った。

 アンドレ・アガシ(アメリカ)やレイトン・ヒューイット(オーストラリア)、シモナ・ハレップ(ルーマニア)など、数々の名選手を指導した経験を持つケーヒル氏は、2022年6月にシナーのコーチに就任。シナーは名将の下で大きな成長を遂げ、中でも24年シーズンは四大大会2勝を含む8つのツアータイトルを獲得するという多大なるインパクトを残した。

 そして、今回は記録ずくめの優勝となった。昨年9月の全米オープンに次ぐ2大会連続並びに、通算3度目となるシングルスでの四大大会タイトルをゲット。同種目で3度以上四大大会を制覇した初めてのイタリア人選手となったことに加え、ハードコートの四大大会を3大会連続で制すという、1968年のオープン化以降で史上5人目となる快挙まで成し遂げた。

 シナーの大車輪の活躍を支えてきたケーヒル氏だが、既報の通り同氏は今季限りでチームを離れることになっている。会見でケーヒル氏の存在の大きさについて問われたシナーは、かけがえのない恩師への心からの感謝を示す形でこう答えた。
 
「彼はとても正直で誠実な人だ。多くの異なる選手たちを指導する良いコーチになるには、選手を理解し、選手のリズムや好きなこと、嫌いなことなどを理解する必要がある。だが彼はそれに数週間で慣れ、選手にも寄り添うことができる人だ」

「彼の好きなところは、とても謙虚なところ。チームにもとてもよく馴染んでいると思う。彼がオーストラリア人であり、全豪オープンでは最後ということもあって、彼のためにも良い結果を残したいと思っていた」

 またシナーはもう1人のコーチであるシモーネ・バグノッツィ氏にも触れつつ、こう続けた。

「いつもダレンのことばかり話してしまうが、シモーネの存在も非常に大きい。彼が僕にしてくれていることは驚異的だ。選手としての自分を変えてくれたし、色々なことに挑戦できるという大きな自信を与えてくれた。

 コーチとしてだけでなく、人としても素晴らしい2人のコンビネーションだと思う。オンコートでもオフコートでもコーチングは重要だと思っていて、彼らはその点でとても優れている。ダレンやシモーネ、その他のチームメンバーにも出会えたのはとても幸運だった。我々は努力を続け、信じ続けるよう努めている。ただそれだけだ」

 ケーヒル氏と離別した後のチーム編成プランについては特に明かさなかったシナー。会見では自身のドーピング問題をめぐるCAS(スポーツ仲裁裁判所)による控訴に言及する場面もあったが、最後には「今はこの瞬間(優勝の喜び)を楽しみたい」と締めくくった。

文●中村光佑

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