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海外テニス

コーチデビューを飾った元1位マリー、率直な感想は「プレーする方が間違いなく難しい」<SMASH>

中村光佑

2025.01.29

全豪で師弟コンビを組んだマリー(左)とジョコビッチ(右)。コーチ初挑戦を終えたマリーは「まだ学ぶことはたくさんある」と経験不足を認めつつ、「プレーする方が難しい」と振り返った。(C)Getty Images

全豪で師弟コンビを組んだマリー(左)とジョコビッチ(右)。コーチ初挑戦を終えたマリーは「まだ学ぶことはたくさんある」と経験不足を認めつつ、「プレーする方が難しい」と振り返った。(C)Getty Images

 昨年末に男子テニス元世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現6位)のコーチに就任したアンディ・マリー氏(イギリス/元1位)が英メディア『The Guardian』のインタビューに回答。先日行なわれた四大大会「全豪オープン」での新タッグ初戦を終え、指導者として多くの“学び”を得られたと明かした。

 今回の全豪で男女を通じて史上最多となる四大大会25度目の優勝と節目のツアー100勝が懸かっていた37歳のジョコビッチは、昨夏のパリ五輪で引退した元王者のマリー氏のサポートを受けて順当に勝ち上がり、世界3位のカルロス・アルカラス(スペイン)との準々決勝も4-6、6-4、6-3、6-4で勝利。

 しかしアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/2位)との準決勝は第1セットを落とした直後に左太ももの肉離れを理由に途中棄権し、残念ながらベスト4止まりとなった。ちなみにジョコビッチとマリー氏は今回の全豪までを契約期間と定めており、2人が今後もパートナーシップを継続するかどうかは今のところ未定だ。

 現役時代に5度準優勝しているメルボルンで貴重な体験を得たマリー氏。これまで「常にコーチをするのは楽しいことだろうと思っていた」という彼は、「予想とは少し違っていた」ことも含め、選手の指導に携わってみたことで様々な発見があったと振り返る。自身がコーチとしての経験がまだまだ浅いことを踏まえ、次のように語った。

「間違いなく、自分自身もっと成長しなければならない点がある。例を挙げると、コーチング技術かな。選手だった時は(テニスの)基本的なことは理解していたが、経験豊富なコーチのように深く理解していたわけではなかった」
 
「これまで一緒に仕事をしてきた人々の中には、その能力に非常に長けた人がいた。元選手というのは戦略を理解するのが得意で、プレー経験があるから心理的な面もよくわかっていることが多い。だがコーチングにはそれ以外にも多くの要素がある。幾つか収穫はあったけど、私にはまだ学ぶべきことがたくさんある」

 一般に選手の指導は非常に難しいと言われるが、選手としてコートに立つのと、ベンチから戦況を見守るのはどちらが難しいか問われたマリー氏は、「プレーする方が間違いなく難しい」と断言。その上でこう続けた。

「『ベンチから見ている方が難しい』という人には同意できない。コートにいると、どれほどストレスがかかるかはよくわかっている。コーチとして臨んだ今大会は、試合中に緊張を感じることはあったが、予想よりも気持ちを切り替えることができた。冷静にベンチに座りながら、コーチとしての仕事に集中していた。アルカラスとの試合の終盤や重要な場面では緊張したけど、プレーしている時ほどではなかった」

 理想的な結果ではなかったかもしれないが、かつて最大のライバルだったジョコビッチとマリー氏が共闘している姿は多くのファンの心を惹きつけたはず。可能であれば今後も2人の協力関係が続いてほしいものだ。

文●中村光佑

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