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海外テニス

【伊達公子】試合に負けた後のテニス選手の状態や複雑なメンタリティ<SMASH>

伊達公子

2025.02.14

「敗北を消化する方法を見つけておくことは大切」と言う伊達公子さん。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

「敗北を消化する方法を見つけておくことは大切」と言う伊達公子さん。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 テニスの大会に出場すると、優勝者以外は必ず負けます。プロテニス選手は敗北とうまく付き合っていかなくてはいけません。負けたネガティブな状態から、ポジティブな状態になるまで、どうするといいのでしょうか。この方法は人によって違いますし、負け方や試合内容にもよっても変わってきます。

 私の場合は、負けた後でまだ会場にいる時は、やらなくてはいけないこともありますし、はたから見ると上の空のような、取り繕った感じになっています。それでも頭の中では、色々な思いや考えがぐるぐる回っている状態です。

 ホテルに戻ってからの行動は、選手によって様々です。自分の部屋に籠って1人で食事を取っている人は結構多くいます。負けた後だけではなく、元々外に出るのが嫌なタイプの選手も多いので、朝になるとドアの前に食器が出されている部屋はかなり多いですね。

 決して良いことではありませんが、部屋の中で道具に八つ当たりしたり、部屋をぐちゃぐちゃにしたり、壁を壊したりする選手もいると聞いたこともあります。会場にいる間は、我慢して我慢して我慢して、ホテルに戻って1人になるとコントロールが効かなくなるのか?そういう選手がいるのも事実です。

 私は負けた後の食事も外でチームと取るタイプでした。元々部屋でルームサービスを取るのが好きではないという理由もありますが、1人で籠って食事はしません。チームのメンバーは複雑な心境だったと思います。一緒に食事へ行っても喋るわけではなく、機嫌は悪いですからね。
 
 食事に行くとチームのメンバーは話しかけてくれますが、頭の中では試合のことを考えているので、しっかりと会話をしているわけではありません。本当に複雑な心境で、話しかけられるのも嫌だし、だからといって話しかけられないのも嫌なのです。たくさん会話をするわけではありませんが、それでも部屋にいるよりは気分が変わります。

 頭の中では、「あの時、ああしていれば――」「なぜあのプレーをしてしまったんだろう――」と、試合のポイントがフラッシュバックしてきます。思い返してさらに落ち込む場合もありますし、あえて考えないようにすることもありました。

 でも勝つために自分が足りなかったところがあるわけですから、成長するためにはそれを理解することが必要です。敗因は何だったのかを頭の中で考えています。ストーンと納得できることもありますし、どうにか落としどころを見つけることも、時間が解決してくれることもあります。

 負けた内容によりますが、早く消化できる時もあれば、1カ月ぐらい引っ張ってしまうこともありました。ただし、落ち込み続けてメンタルの問題にまでなってしまうのは避けたいので、自分なりに敗北を消化する方法を見つけておくことは大切だと思います。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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