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海外テニス

悲願のテニス四大大会初制覇を遂げた“全豪女王キーズ”を支えた「完璧ではなく、進歩を求める」考え方<SMASH>

中村光佑

2025.02.02

2023年の全米で優勝を逃がしたことを引きずっていたキーズだが、セラピーにより考え方がポジティブになったことが悲願の四大大会制覇の要因になっているようだ。(C)Getty Images

2023年の全米で優勝を逃がしたことを引きずっていたキーズだが、セラピーにより考え方がポジティブになったことが悲願の四大大会制覇の要因になっているようだ。(C)Getty Images

 先日行なわれた「全豪オープンテニス」(オーストラリア・メルボルン/1月12日~26日)の女子シングルスで悲願の四大大会初優勝を飾った世界ランキング7位のマディソン・キーズ(アメリカ)が、フランスの著名ファッション誌『ELLE』のインタビューに応じ、世界最高峰の舞台で頂点に立つまでの過程を振り返った。

 2017年の「全米オープン」(四大大会)で準優勝し、全豪でも15年と22年の2度ベスト4に進出していた29歳のキーズは、夫でコーチのビヨン・フラタンジェロ氏によるアドバイスの元、「身体の負担を減らす」ことを目的にラケットを新調。それが奏功して前哨戦の「アデレード国際」(WTA500)でツアー9勝目をゲットすると、全豪でもその勢いが衰えることはなかった。

 3回戦で同胞のダニエル・コリンズ(アメリカ/現12位)を破ると、4回戦で23年全豪の準優勝者のエレーナ・ルバキナ(カザフスタン/5位)、準々決勝で元世界3位のエリーナ・スビトリーナ(ウクライナ/現24位)に勝利。そして準決勝で23歳にして四大大会5勝を挙げている元世界1位のイガ・シフィオンテク(ポーランド/現2位)、決勝でアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ/現1位)のツートップをも撃破して栄冠をつかみ取った。

 そんなキーズは今回の優勝でようやく長年のプレッシャーから解放されたという。

「四大大会で優勝できなければ、人々が私を“失敗した選手”だと考えるのではないかと思っていた」からだ。ラケットの新調に加え、最近取り入れた“セラピー”(心理療法)が、重圧に打ちのめされそうだった自分を救ってくれたと29歳は明かす。
 
「去年くらいからセラピーのおかげで改善が見え始めたと思う。セラピーには懸命に取り組んだ。進歩自体は遅かったけど、自信がどんどん湧いていった」

 様々な取り組みを行なうなかで学ぶことが多々あったとキーズ。これまでの経験から、精神面はもちろんのこと、私生活とテニスの“バランス”を保つことでよりパフォーマンスが向上するのではないかと持論を語った。

「私は『完璧ではなく、進歩を求めよう』と自分に言い聞かせてきた。それはテニスにおいてパフォーマンスを良くすることやより良いプレーヤーになることだけではなく、より良い人間になろうとするという意味も含まれていた。時には、セラピーのセッションで自分が言ったことに驚くこともあった。自分でも知らないうちに、心の中に溜め込んでいたことがあったのだと気づけた」。

「テニスと人生のバランスを取ることが大切だと思う。コートに立つときは、少なくとも最初の2球くらいはプランを持ってプレーしたい。でもそれ以上に私は幸せでバランスの取れた人間でありたいと思っている。もしそれができれば、テニスはもっと簡単になるはず」

 四大大会初優勝という確かな結果を通じて、自身の成長を示したキーズ。ついに23年シーズン以来のトップ10復帰も果たしたが、大変なのはここからだろう。今後もキーズが安定したプレーを継続できるか注目していきたい。

文●中村光佑

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