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海外テニス

客席最前列にストーカーが現れ、元全米女王ラドゥカヌが涙…。女子テニス協会は男を出入り禁止に<SMASH>

中村光佑

2025.02.20

ドバイ選手権の試合中にストーカーの恐怖にさらされたラドゥカヌ。WTAは男を全ての大会から排除する決定を下した。(C)Getty Images

ドバイ選手権の試合中にストーカーの恐怖にさらされたラドゥカヌ。WTAは男を全ての大会から排除する決定を下した。(C)Getty Images

 女子テニスツアーを管轄するWTA(女子テニス協会)は2月19日に公式X(@WTA)を更新し、試合中に元世界ランク10位のエマ・ラドゥカヌ(イギリス/現61位)へのストーカー行為を行なった不審人物に対して同協会主催の全大会で出入り禁止措置を講じるとの公式声明を発表した。

 事件は現地18日に行なわれた「ドバイ・デューティ・フリー・テニス選手権」(2月16日~22日/UAE・ドバイ/ハードコート/WTA1000)のシングルス2回戦で起きた。第14シードのカロリーナ・ムチョバ(チェコ/17位)と対戦したラドゥカヌは試合序盤の第2ゲーム終了後に突如涙を流し、ひどく怯えた様子を見せながら審判台の裏に隠れるという行動を取ったのだ。

 それでもほどなくしてラドゥカヌは落ち着きを取り戻し、試合は無事再開。粘りのプレーを見せたラドゥカヌだったが、第1セットを6-7(6)で失うと、第2セットも4-6で落とし、3回戦進出はならなかった。

 試合後にWTAは公式Xを通じて「ラドゥカヌ選手は17日の月曜日(2回戦の前日)、公共の場で執着的な態度を示す男性に近づかれました」と事件の内容を報告。「この同じ人物は火曜日のドバイ選手権におけるラドゥカヌ選手の試合で客席の最前列にて特定され、その後退場させられました。この人物の危険性が分析・評価されるまで、WTAが主催する全てのイベントへの出入りを禁止します」と対応策を説明し、次のように締めくくった。
 
「選手の安全を守ることは我々の最優先事項であり、各トーナメントには国際スポーツイベントのセキュリティの最善策がアドバイスされています。WTAはラドゥカヌ選手と彼女のチームと積極的に協力しながら、彼女の健康を確保し、必要なサポートを提供しています。我々は全ての選手にとって安全な環境を維持するために、世界中のトーナメントとそのセキュリティチームと協力することに引き続き尽力していきます」

 海外メディア『UBITENNIS』によれば、ラドゥカヌが一般人から脅迫を受けたのは今回が初めてではない。22年2月にはロンドン南東部ブロムリーにあるラドゥカヌの自宅を3度にわたって訪れた男に、5年間の接近禁止命令と18カ月の保護観察処分が下された。ちなみにその男は自身の居住地からラドゥカヌの自宅まで23マイル(約37km)歩いたことを示す手描きの地図が入ったカードをポストに投函するという奇行も確認されたという。

 なおラドゥカヌは今回のストーカー事件についてまだコメントしていない。過去には女子元世界1位のモニカ・セレス(アメリカ)がチェンジエンドで暴漢に背中を刺された事例もあるだけに、各大会で早急にセキュリティ強化を進めていくべきだろう。

文●中村光佑

【画像】ラドゥカヌのストーカーに対する出入り禁止と今後の対策を報告したWTAのSNS画面

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