先週行なわれた男子テニスツアーのATP500シリーズ「カタール・エクソンモービル・オープン」(2月17日~22日/カタール・ドーハ/ハードコート)で、約9カ月ぶり並びに通算17度目のツアー優勝を飾った世界ランク9位のアンドレイ・ルブレフ(ロシア/27歳)が、試合後のメディア対応で自身が長らく抱えてきた“知られざる苦悩”を語った。
昨季は1月の「香港オープン」(ATP250)と5月の「マドリード・オープン」(ATP1000)の2大会で優勝したものの、初戦敗退が8度と安定感に欠けていた27歳のルブレフ。先月出場した四大大会「全豪オープン」でも1回戦敗退に終わるなど、特にここ数カ月間は苦しい時期が続いていた。
実は数年間にわたってメンタルヘルス(精神の健康状態)の問題を抱えていたとルブレフは言う。1年ほど抗うつ剤を服用し、「最近になって薬を飲むのをやめた」とのことだ。
「僕はただ同じことを繰り返していて、何年もの間自分を見失い、道を見つけられずにいた。何をすればいいのか、何のためにそれをするのかもわからなかった。少し大げさに聞こえるかもしれないが、『生きる理由や目的は何なのか?』と考えてしまうほど、自分を完全に見失っていた。そういう状況が何年も続くと一瞬にしてもう耐えられないような感じになる」
そんな彼に救いの手を差し伸べたのが、四大大会のシングルスで2度の優勝を誇る同郷の元世界1位、マラット・サフィン氏(45歳)だった。ルブレフは昨年7月の「ウインブルドン」(四大大会)でまさかの初戦敗退を喫した直後にサフィン氏に連絡し、様々なサポートを受けたという。
「マラットの助けにより、僕は自分自身を理解したり見つめ直したりすることができた。(思えば)それが“どん底からの再出発”という感じだったかな。そこから少しずつ良い方向に進むことができた」
その上でルブレフは現在の自身の状態を「中立的なコンディション」と表現し、「良くも悪くもないけど、ストレスや不安は感じていないし、落ち込んでもいない」と説明。これまでは試合中にイライラして癇癪を起こすことが多かったルブレフだったが、優勝した先日のドーハではサービスをブレークされた後にベンチで笑みを浮かべながら瞑想してすぐに立て直すなど、明確なメンタル面の成長が見られた。
今週も休む間もなく「ドバイ・デューティ・フリー・テニス選手権」(2月24日~3月1日/UAE・ドバイ/ハードコート/ATP500)」に第3シードで出場するルブレフ。昨年の同大会ではベスト4に進出するも準決勝で線審に暴言を吐いて失格となり、36,400ドル(約547万円)の罰金を科されるという痛い経験をしたが、最後には「あの事件のことは特に気にしていない。悪夢を見たり、試合に出るのが怖くなったりもしていない」とのコメントを残した。
文●中村光佑
【動画】ルブレフが約9カ月ぶりツアー優勝を飾ったカタールOP決勝ハイライト
【関連記事】全豪初戦敗退のルブレフが復調!カタールOPを制しツアー通算17勝目を飾る「自分のプレーには満足している」<SMASH>
【関連記事】「お前はバカだ!」世界5位ルブレフが線審に暴言!ロシア語のわかる別の線審が大会責任者へ報告し失格処分に<SMASH>
昨季は1月の「香港オープン」(ATP250)と5月の「マドリード・オープン」(ATP1000)の2大会で優勝したものの、初戦敗退が8度と安定感に欠けていた27歳のルブレフ。先月出場した四大大会「全豪オープン」でも1回戦敗退に終わるなど、特にここ数カ月間は苦しい時期が続いていた。
実は数年間にわたってメンタルヘルス(精神の健康状態)の問題を抱えていたとルブレフは言う。1年ほど抗うつ剤を服用し、「最近になって薬を飲むのをやめた」とのことだ。
「僕はただ同じことを繰り返していて、何年もの間自分を見失い、道を見つけられずにいた。何をすればいいのか、何のためにそれをするのかもわからなかった。少し大げさに聞こえるかもしれないが、『生きる理由や目的は何なのか?』と考えてしまうほど、自分を完全に見失っていた。そういう状況が何年も続くと一瞬にしてもう耐えられないような感じになる」
そんな彼に救いの手を差し伸べたのが、四大大会のシングルスで2度の優勝を誇る同郷の元世界1位、マラット・サフィン氏(45歳)だった。ルブレフは昨年7月の「ウインブルドン」(四大大会)でまさかの初戦敗退を喫した直後にサフィン氏に連絡し、様々なサポートを受けたという。
「マラットの助けにより、僕は自分自身を理解したり見つめ直したりすることができた。(思えば)それが“どん底からの再出発”という感じだったかな。そこから少しずつ良い方向に進むことができた」
その上でルブレフは現在の自身の状態を「中立的なコンディション」と表現し、「良くも悪くもないけど、ストレスや不安は感じていないし、落ち込んでもいない」と説明。これまでは試合中にイライラして癇癪を起こすことが多かったルブレフだったが、優勝した先日のドーハではサービスをブレークされた後にベンチで笑みを浮かべながら瞑想してすぐに立て直すなど、明確なメンタル面の成長が見られた。
今週も休む間もなく「ドバイ・デューティ・フリー・テニス選手権」(2月24日~3月1日/UAE・ドバイ/ハードコート/ATP500)」に第3シードで出場するルブレフ。昨年の同大会ではベスト4に進出するも準決勝で線審に暴言を吐いて失格となり、36,400ドル(約547万円)の罰金を科されるという痛い経験をしたが、最後には「あの事件のことは特に気にしていない。悪夢を見たり、試合に出るのが怖くなったりもしていない」とのコメントを残した。
文●中村光佑
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