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海外テニス

シナーのドーピング処分を受け、元全米王者デルポトロが持論を展開「テニス界全体の信頼性が少し失われた」<SMASH>

中村光佑

2025.02.25

昨年現役を引退したデルポトロ氏(左)がシナー(右)のドーピング問題について口を開いた。(C)Getty Images

昨年現役を引退したデルポトロ氏(左)がシナー(右)のドーピング問題について口を開いた。(C)Getty Images

 昨年3月に端を発するドーピング問題で、今年4月に出場停止期間の審理が行なわれる予定だった男子テニス世界ランク1位のヤニック・シナー(イタリア/23歳)。ところがこの件は現地2月15日に急展開を迎え、世界アンチドーピング機構(WADA)との示談によりシナーには3カ月間(2025年2月9日~5月4日/練習は4月13日から再開)の出場停止処分が下されることが決まった。

 すなわちシナーの処分が明けるのは、次の四大大会「全仏オープン」はもちろん、母国開催の前哨戦「イタリア国際」(ATP1000)にも間に合うタイミングだ。シモナ・ハレップ(ルーマニア/女子元1位)をはじめ過去にドーピング問題で非常に重いペナルティを受けてきた選手たちが多くいることから、今回の決定はテニス界で波紋を広げている。

 そうした中、2009年の全米オープンで四大大会初優勝を飾った男子元世界3位のホアン・マルティン・デルポトロ氏(アルゼンチン/36歳/昨年12月に引退)も一連の騒動に違和感や疑問を抱いている様子だ。先日応じた海外メディア『Tennis 365』の取材で同氏は「僕は今ツアーから離れているから、あまり詳しくは知らない」と前置きしつつ、シナーのドーピング問題に対する所感を次のように語った。
 
「全体的に今の状況が奇妙に思えるということは言える。彼(シナー)はインディアンウェルズで2度陽性反応を示した。全米オープンの前にこの件が公表されたが、当初彼には何の処分も科されなかった。何カ月もの間、それを知っていながら誰も公にしなかったというのは奇妙だと思う。この件は解決済みなのに、なぜ全米オープン前に発表したのか理解できない。彼が無実かどうか、理学療法士のせいなのかについてはここでは触れないけどね」

 またデルポトロ氏は、今回の騒動によって「シナー本人のイメージ」に加え、テニス界全体のイメージも損なわれたのではないかと持論を展開。「ここ(テニス界)にいる全員の信頼性が少し失われたと思う。ATP(男子プロテニス協会)や反ドーピング・システム、シナーのイメージやファン(からの信頼)...誰もなんらプラスになることはなかったと感じる」と続けた。

 既報の通りシナーが比較的軽い処分で済んだことについては、シナーが現在世界1位であることや現在のATP会長がイタリア人であることから「えこひいきがあったのではないか」という声も多く上がっている。

 しかしこれに対して同選手の弁護士であるジェイミー・シンガー氏は「彼(シナー)は最初から規則に従って手続きを進めてきた。えこひいきなどはない。たまたま今回のケースが非常に異例だっただけ」と反論しており、WADA側も「意図的なものではなく、ドーピング違反とはかけ離れた事件」と弁明している。とはいえドーピングコントロールのあり方は今後も議論を呼ぶだろう。

文●中村光佑

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