現在行なわれている男子テニスツアーのマスターズ1000シリーズ「BNPパリバ・オープン」(3月5日~16日/アメリカ・インディアンウェルズ/ハードコート)のシングルス1回戦で、手首の負傷により途中棄権を余儀なくされた元世界ランク13位のニック・キリオス(オーストラリア/現1099位)が試合後の会見で今後への不安を口にした。
現在29歳のキリオスは度重なるケガを乗り越え、2025年シーズン開幕戦「ブリスベン国際」(ハード/ATP250)で、約1年半ぶりに実戦に復帰。今大会にはプロテクトランキング(負傷離脱前のランキングでエントリーできる救済措置)を使用して出場し、現地6日の初戦でボティック・ファンデザンツフープ(オランダ/85位)との初対決を迎えた。
この試合では以前再建手術を受けた右手首にテーピングを巻いてプレーしたキリオス。ゲームを重ねるごとに同箇所を押さえながらつらそうな表情を浮かべていたが、1-4とリードされたところから粘りのプレーを見せてタイブレークに持ち込み、一時はセットポイントも取得した。
しかしこれを取り切れずに第1セットを落とすと、第2セットでは第1ゲームから3ゲームを連取されたところでメディカルタイムアウトを要求。トレーナーと話していた最中にキリオスはどうにもできない悔しさから涙を流し、最終的に途中リタイアを申し入れて無念の初戦敗退となった。
会見でキリオスは手首の状態について「2日前の練習から鋭い痛みを感じていて、試合中に悪化した」と言及。良いコンディションで戦えていない現状が何よりもつらいとし、次のように苦しい胸の内を吐露した。
「ファンデザンツフープは昨年の全米オープンで(カルロス・)アルカラス(スペイン/3位)にストレート勝ちしたが、今日は彼相手に第1セットでセットポイントを握るところまではいけた。でも試合を最後まで戦えないなら、それはもう意味がない」
「今自分は最大の試練を迎えている。今後については実験をするような感じだ。このスポーツで手首の再建手術を受け、そこからプレーしようとした選手はいない。他にも手首の手術を受けた選手はいるが、自分ほど重い手術を受けたケースはない。もしこのケガを経験した人がいれば、どんな困難があったのかを聞くことができるのに」
それでもまだ諦めるつもりはないと29歳は意欲を見せる。19日開幕のマスターズ1000大会「マイアミ・オープン」(アメリカ・マイアミ/ハード)にも同じくプロテクトランキングでエントリーしていることを踏まえ、最後をこう締めくくった。
「マイアミはスケジュール的には理想的ではないが、出場するつもりでいたから、手首の回復具合を見ながら考えたい。もしマイアミに出られなくても、その先を見据えるつもりだ。俺は7歳の頃からずっとテニスをやってきた。まだまだコートに立って、競いたいんだ」
歯に衣着せぬ物言いと抜群のテニスセンスでファンを魅了してきたキリオスが、このまま終わってしまうのはやはり寂しい。1日も早く彼の状況が好転することを祈るばかりである。
文●中村光佑
【動画】健闘するも途中棄権となったキリオスのBNPパリバOP1回戦ハイライト
【関連記事】「テニス界にとって悲しい日」シナーへの軽い処分をキリオスが批判。メドベージェフは「これを前例として」と前向きな意見<SMASH>
【関連記事】全豪オープン初戦敗退のキリオスが近い将来での引退を示唆。「またここでプレーすることはないと思う」<SMASH>
現在29歳のキリオスは度重なるケガを乗り越え、2025年シーズン開幕戦「ブリスベン国際」(ハード/ATP250)で、約1年半ぶりに実戦に復帰。今大会にはプロテクトランキング(負傷離脱前のランキングでエントリーできる救済措置)を使用して出場し、現地6日の初戦でボティック・ファンデザンツフープ(オランダ/85位)との初対決を迎えた。
この試合では以前再建手術を受けた右手首にテーピングを巻いてプレーしたキリオス。ゲームを重ねるごとに同箇所を押さえながらつらそうな表情を浮かべていたが、1-4とリードされたところから粘りのプレーを見せてタイブレークに持ち込み、一時はセットポイントも取得した。
しかしこれを取り切れずに第1セットを落とすと、第2セットでは第1ゲームから3ゲームを連取されたところでメディカルタイムアウトを要求。トレーナーと話していた最中にキリオスはどうにもできない悔しさから涙を流し、最終的に途中リタイアを申し入れて無念の初戦敗退となった。
会見でキリオスは手首の状態について「2日前の練習から鋭い痛みを感じていて、試合中に悪化した」と言及。良いコンディションで戦えていない現状が何よりもつらいとし、次のように苦しい胸の内を吐露した。
「ファンデザンツフープは昨年の全米オープンで(カルロス・)アルカラス(スペイン/3位)にストレート勝ちしたが、今日は彼相手に第1セットでセットポイントを握るところまではいけた。でも試合を最後まで戦えないなら、それはもう意味がない」
「今自分は最大の試練を迎えている。今後については実験をするような感じだ。このスポーツで手首の再建手術を受け、そこからプレーしようとした選手はいない。他にも手首の手術を受けた選手はいるが、自分ほど重い手術を受けたケースはない。もしこのケガを経験した人がいれば、どんな困難があったのかを聞くことができるのに」
それでもまだ諦めるつもりはないと29歳は意欲を見せる。19日開幕のマスターズ1000大会「マイアミ・オープン」(アメリカ・マイアミ/ハード)にも同じくプロテクトランキングでエントリーしていることを踏まえ、最後をこう締めくくった。
「マイアミはスケジュール的には理想的ではないが、出場するつもりでいたから、手首の回復具合を見ながら考えたい。もしマイアミに出られなくても、その先を見据えるつもりだ。俺は7歳の頃からずっとテニスをやってきた。まだまだコートに立って、競いたいんだ」
歯に衣着せぬ物言いと抜群のテニスセンスでファンを魅了してきたキリオスが、このまま終わってしまうのはやはり寂しい。1日も早く彼の状況が好転することを祈るばかりである。
文●中村光佑
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