海外テニス

男子テニス元世界3位ティームが引退後の生活を明かす「何のプレッシャーもなく試合を見られることが楽しい」<SMASH>

中村光佑

2025.04.18

昨秋現役を退いたティーム氏が現在開催中の「BMWオープン」を訪れ引退後の生活について明かした(写真は2024年のBMWオープン)。<SMASH>

 昨秋現役を引退した男子テニス元世界ランク3位のドミニク・ティーム氏(オーストリア)が、ATP(男子プロテニス協会)のインタビューに回答。その中で引退後の生活について語るとともに、テニスへの変わらぬ愛情を明かした。

 2020年の全米オープンで四大大会初優勝を達成し、ツアー通算17勝を挙げた31歳のティーム氏は、現在開催中のATP500シリーズ「BMWオープン」(4月14日~20日/ドイツ・ミュンヘン/クレーコート)にゲストとして登場。現地14日に行なわれた前年覇者のヤン‐レナード・ストルフ(ドイツ/世界ランキング51位)とフランシスコ・セルンドロ(アルゼンチン/同22位)による1回戦でコイントスを担当した。その後は快晴の下、コートサイドに座って試合を観戦したという(試合はセルンドロが6-0、6-2で勝利)。

 またこの日は、今大会がツアー本戦初出場となった17歳のディエゴ・デドゥーラ・パロメロ(ドイツ/同549位)とデニス・シャポバロフ(カナダ/同29位)の試合も観戦。この試合は序盤からパロメロが元トップ10プレーヤーを相手に見事なプレーを披露し、7-6(2)、3-0とリードしたところでシャポバロフが途中棄権。期待の新鋭が鮮烈なデビューを飾った。

 こうした新たな才能のブレークスルーは「懐かしく思う」一方、「そこに至るまでの険しい道のりは全く懐かしくない」と断言するティーム氏。昨年10月に出場した母国開催のツアー大会「エルステ・バンク・オープン」(ATP500)で現役生活にピリオドを打ってからは、自身が設立したエネルギー会社での仕事に勤しんでいるという。

「引退後の生活は楽しくていい感じだし、バランスも取れている」と充実感を示すティーム氏だが、競技を離れてもテニスへの愛情は変わらない。引退後も男子ツアーの動向を追いかけているそうで、何のプレッシャーもなく試合を見られることが楽しく、現役時代よりもテニスとの関わり方が良くなったとさえ明かす。
 
「実はテニスを見るのが大好きで、現役時代からずっと観戦ファンだった。でも、現役の頃はリラックスしてテニスを見るのが難しかった。誰かにランキングを抜かれるかもしれないという不安が常につきまとっていたからね。でも今はどの試合でも心穏やかに観戦できる。例えば、ディエゴ(パロメロ)を見るのは今回が初めてで、とても興味深い。こうしてコートサイドでいいテニスを見るのは、本当に素晴らしい」

 さらにティーム氏は現在の注目選手として、共にティーンエイジャーながら凄まじい活躍を見せている18歳のジョアオ・フォンセカ(ブラジル/同59位)と19歳のヤクブ・メンシク(チェコ/同23位)の名を挙げ、「彼らのプレーは毎週見たいくらいだ」と絶賛。さらにはパロメロのような新たな選手の台頭も楽しみにしていると語った。

「今後もずっと大好きなテニスには関わっていきたい」と話すティーム氏。競技者としての役目を終えても、その熱いまなざしは今もコートに注がれている。

文●中村光佑

【動画】ティームが現役時代に見せたトップ50ショット&ラリー

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