テニス競技はメンタルによって大きく結果が左右されるスポーツです。しかし、メンタルを強化したいけれど「なんか大変そうだ」と敬遠している人はいないでしょうか。

　本シリーズでは一般プレーヤーに向けて、伊達公子氏や浅越しのぶ氏といった日本テニス界をけん引したトップ選手の指導経験を持つメンタルアドバイザー椙棟紀男氏に、簡単に身に付くメンタルの強化方法を伝授してもらいます。

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　もし、「約束」というタイトルで映画を製作するとしたら、あなたはどんな脚本を書きますか？　

　ここは映画監督の山田洋二さんになった気分で書き上げてみてください。「親と子の約束」「指導者と選手の約束」「ライバルとの約束」「愛する人との約束」きっと良い映画ができると思います。

　この話を小学５年生の有我君に話したら、早速メールが届きました。「主人公は八重という小学２年生の女の子の物語です。ある日、ジイジちゃんと『返事と挨拶』ができたらいいね！ と約束しました。～中略～その後は約束しなくても何でもできるようになりました」
  　これは映画にはならないですが、私との約束を覚えていてくれたことはうれしい限りです。さて、私たちは色々な約束（ルール）の中で生活しています。例えば、信号機を無視すると事故が起こるのは誰でも知っていることです。約束には大きく分けて３つの意味があります。

①公的なものでみんなで守るもの：先ほどの信号の例もそうですが、チームの方針や自分の役割などを守ることでスムーズな団体生活が送れます。

②誰かと交わしたもの：人と人が色々な場面で約束をします。小さな約束であったとしてもそれを実行することで、信頼という大きなものが手に入ります。

③自分が心の中で決めたもの：誰にも他言していないが「こうなりたい、よしやろう！」と決めたものが人にはあります。「不言実行」とも言いますが、自分自身との約束のことです。辞書で引くと、文句や理屈を言わずに、黙って成すべきことを実行すること、とありました。

　そこで皆さんに、自分は約束を守れたか？　と問いかける意味で「感謝の手紙」を書くことをお勧めします。

　若い頃にお世話になった人、現在も世話になっている人に手紙を書くことで、自分自身を振り返ることができ、当時に約束したことが思い出されます。恩返しの気持ちも込めて、今すぐにでも「感謝の手紙」を書くことで、初心に戻れ、素直な自分にも出会うことができますよ。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2024年３月号から抜粋・再編集

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