同時にこの日は、戦前から掲げていた「攻め急がない」という課題を実践できた快勝でもあった。「集中力もあり、攻めるところはしっかり攻めることができた。相手の強い部分もあったが、そこも自分のテニスで封じられた」という、力強い言葉も口に。なにより相手が早々に棄権を決断したのも、錦織の圧巻のプレーがあってこそだろう。
勝利と自信を喪失した状態で大会を迎えながらも、充実の練習を重ねて調子を上げていく今年のプロセスは、ベスト4入りした昨年と似ていると錦織は言う。だからこそ、「今年も大丈夫かなと。自信こそなかったが、気楽に(試合に)入れていた」と、どこか泰然自若と構えられている様子。このメンタリティが、プラスに働くかもしれない。
取材・文●内田暁
取材・文●内田暁