それから約20年間、『ピュアドライブ』は少しずつ進化しながら、いまだに人気モデルであり続け、黄金スペックは他社モデルにも広がっていきます。ただ、この驚くべき汎用性を実現したのは、日本上陸モデルから搭載された「ウーファー」という特殊なグロメットがあってのことでしたが、それはまたの機会に話しましょう。
この大ヒットを他社が見逃すはずはありません。あっという間に、この3スペックを備えたモデルが市場を賑わせるようになりました。ウーファーを持たない他社は、徐々にそのスペックの範囲内で様々な個性を見出していきます。そうして、それまでは単に「中厚モデル」と呼ばれていたものが、3スペック揃うことで「黄金スペック群」としてグループを形成。それが市場を席巻し、今日ではラケット選びの基準モデルと言ってもいいくらいです。
最近の黄金スペックは、特に競技者における「高速化への順応性」という点で、少し動きが見られます。年々、ラケットは素材や構造進化によってパワーが向上します。進化したカーボンは強度を増し、もはや26ミリ厚がなくても高剛性を築くことが可能となり、一時はフレーム厚だけ26の数値を下回るラケットも多く見られました。しかし今度はその増加パワー分をスピン性能向上へ変換する時代となり、やっぱり26ミリ厚が必要となるのです。
高速を保ったまま、高いスピン性能によりコート内に収まるようになった進化型「黄金スペック」は、派生モデルを引き連れながら、今後もテニスラケットの中心的存在であり続けるでしょう。
文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2018年7月号より抜粋・再編集
【PHOTO】3/1000秒のインパクトの瞬間、ラケットフェイスはこうなる
この大ヒットを他社が見逃すはずはありません。あっという間に、この3スペックを備えたモデルが市場を賑わせるようになりました。ウーファーを持たない他社は、徐々にそのスペックの範囲内で様々な個性を見出していきます。そうして、それまでは単に「中厚モデル」と呼ばれていたものが、3スペック揃うことで「黄金スペック群」としてグループを形成。それが市場を席巻し、今日ではラケット選びの基準モデルと言ってもいいくらいです。
最近の黄金スペックは、特に競技者における「高速化への順応性」という点で、少し動きが見られます。年々、ラケットは素材や構造進化によってパワーが向上します。進化したカーボンは強度を増し、もはや26ミリ厚がなくても高剛性を築くことが可能となり、一時はフレーム厚だけ26の数値を下回るラケットも多く見られました。しかし今度はその増加パワー分をスピン性能向上へ変換する時代となり、やっぱり26ミリ厚が必要となるのです。
高速を保ったまま、高いスピン性能によりコート内に収まるようになった進化型「黄金スペック」は、派生モデルを引き連れながら、今後もテニスラケットの中心的存在であり続けるでしょう。
文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2018年7月号より抜粋・再編集
【PHOTO】3/1000秒のインパクトの瞬間、ラケットフェイスはこうなる