勝利を半ば確信した地元ファンから、湧き上がる大声援。飄々とした佇まいのペールも、緊張とは無縁のように見えた。しかし実際には、この時のペールは、迫り来る悲願の全仏ベスト8の重圧に平静さを失ったと言う。
「今季の僕は、出だしが良くなかった。だがクレーのツアー大会で2つ目の優勝をした時、今年のローランギャロスでは何かができるのではないか、2週目まで残りたいと強く思うようになった。そして2週目に残れば、もっと勝ち進みたくなる」
その勝利への思いが増幅したのは、ここが彼にとって、どこよりも大切な場所だから。ましてや、この試合の勝者が次に対戦するのは、ラファエル・ナダルである。
「全てのフランス人選手にとって、ローランギャロスは特別な場所。5-3のサービスゲームでは、勝って準々決勝でナダルと対戦することを考えてしまった」
そのような勝利への渇望がペールの動きを硬くし、対して「気力で戦っていた状態」だった錦織は、目の前のボールのみに集中する。
芸術的なハーフボレー、そして勝負を懸けたリターンでブレークをもぎ取った錦織は、落胆を隠せぬペールから4ゲーム連取。最後は相手のサービスリターンがネットに掛かり、2日がかりの長く起伏に富んだ戦いを、逆転劇で締めくくった。
◆2019年4回戦
錦織圭[62 67(8) 62 67(8) 75]ブノワ・ペール
取材・文●内田暁
【PHOTO】錦織圭、19年シーズンの4大大会を奮闘した厳選ギャラリー!!
「今季の僕は、出だしが良くなかった。だがクレーのツアー大会で2つ目の優勝をした時、今年のローランギャロスでは何かができるのではないか、2週目まで残りたいと強く思うようになった。そして2週目に残れば、もっと勝ち進みたくなる」
その勝利への思いが増幅したのは、ここが彼にとって、どこよりも大切な場所だから。ましてや、この試合の勝者が次に対戦するのは、ラファエル・ナダルである。
「全てのフランス人選手にとって、ローランギャロスは特別な場所。5-3のサービスゲームでは、勝って準々決勝でナダルと対戦することを考えてしまった」
そのような勝利への渇望がペールの動きを硬くし、対して「気力で戦っていた状態」だった錦織は、目の前のボールのみに集中する。
芸術的なハーフボレー、そして勝負を懸けたリターンでブレークをもぎ取った錦織は、落胆を隠せぬペールから4ゲーム連取。最後は相手のサービスリターンがネットに掛かり、2日がかりの長く起伏に富んだ戦いを、逆転劇で締めくくった。
◆2019年4回戦
錦織圭[62 67(8) 62 67(8) 75]ブノワ・ペール
取材・文●内田暁
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