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海外テニス

【錦織圭・全仏テニス名勝負集3】因縁の相手との2日がかりの激闘に勝利。「気力で戦っていた状態だった」/2019年4回戦

スマッシュ編集部

2020.09.30

絶対有利の状況から勝利を逃したペールだが、試合後は錦織を抱擁して祝福した。写真:THE DIGEST写真部

絶対有利の状況から勝利を逃したペールだが、試合後は錦織を抱擁して祝福した。写真:THE DIGEST写真部

 勝利を半ば確信した地元ファンから、湧き上がる大声援。飄々とした佇まいのペールも、緊張とは無縁のように見えた。しかし実際には、この時のペールは、迫り来る悲願の全仏ベスト8の重圧に平静さを失ったと言う。

「今季の僕は、出だしが良くなかった。だがクレーのツアー大会で2つ目の優勝をした時、今年のローランギャロスでは何かができるのではないか、2週目まで残りたいと強く思うようになった。そして2週目に残れば、もっと勝ち進みたくなる」

 その勝利への思いが増幅したのは、ここが彼にとって、どこよりも大切な場所だから。ましてや、この試合の勝者が次に対戦するのは、ラファエル・ナダルである。
 
「全てのフランス人選手にとって、ローランギャロスは特別な場所。5-3のサービスゲームでは、勝って準々決勝でナダルと対戦することを考えてしまった」

 そのような勝利への渇望がペールの動きを硬くし、対して「気力で戦っていた状態」だった錦織は、目の前のボールのみに集中する。

 芸術的なハーフボレー、そして勝負を懸けたリターンでブレークをもぎ取った錦織は、落胆を隠せぬペールから4ゲーム連取。最後は相手のサービスリターンがネットに掛かり、2日がかりの長く起伏に富んだ戦いを、逆転劇で締めくくった。

◆2019年4回戦
錦織圭[62 67(8) 62 67(8) 75]ブノワ・ペール

取材・文●内田暁

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