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海外テニス

「モヤモヤする負け」の理由は?西岡良仁がトップ選手へと進むための通過儀礼か【全仏テニス】

内田暁

2020.10.02

小柄ながら上位選手からも勝ち星を挙げている西岡は、ツアーでも注目される存在になってきた。(C)Getty Images

小柄ながら上位選手からも勝ち星を挙げている西岡は、ツアーでも注目される存在になってきた。(C)Getty Images

 リターンやストロークの位置を後方に下げ、相手のショットの威力が落ちたところを全力で叩き込み、なおかつ左右長短に打ち分ける。得意のフォアを思うように打たせてもらえないオジェ-アリアシムは冷静さを失い、逆に「プランはかなり練っていた」という西岡の戦略は、ますます冴え渡っていく。相手を完全に術中にはめた、まさに“西岡劇場”だった。

 ただ、小柄ながら上位勢相手に好ゲームを連発する西岡の姿は、当然ながらツアーの中で目立ちもする。出る杭が標的にされるのは、勝負の世界の道理だ。西岡自身も、ローママスターズ2回戦のグリゴール・ディミトロフ戦では、相手に研究されていると感じたという。
 
 もちろん今大会のガストンにしても、西岡対策は十分に練っていただろう。何しろ西岡戦のコートサイドには、デ杯キャプテンのセバスチャン・グロージャンをはじめ、フランステニス協会の首脳陣がずらり顔を揃えていた。期待の若手の勝利獲得を、協会として後押ししていたはずだ。

 それら周囲からの警戒の視線を感じつつも、西岡は「今季は下位の選手にほとんど負けていない。ハードコートだったら自分の得意な組み立てができている」と、強い矜持を言葉に込める。

 この「モヤモヤ」の正体が、単にザラついた赤土が生む異物感なのか、それとも、ここから真のトッププレーヤーになるための通過儀礼なのか――。
 
 その答えはこの先の、ハードコートシリーズで見いだせるはずだ。

取材・文●内田暁

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