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国内テニス

地道なノーギャラ活動から広がった仕事の輪。テニス芸人“ボヨン・ボルグ”が誕生するまで【後編】

内田暁

2020.12.03

テニスを縁に、バモス!には様々な仕事が舞い込んできた。選抜高校テニスの応援副団長もその1つだ。写真:スマッシュ編集部

テニスを縁に、バモス!には様々な仕事が舞い込んできた。選抜高校テニスの応援副団長もその1つだ。写真:スマッシュ編集部

 そこからは運命の輪が回り始めたかのように、次々と新たな出会いや仕事が舞い込んでくる。『スマッシュ』の誌面企画に出るようになり、すると誌面を介してダイドードリンコの関係者と知り合い、同社が企画したイベントにも呼ばれるようになった。

 さらに大きかったのが、2018年全米オープンでの、大坂なおみの優勝。テレビがテニス情報を多く取り扱うようになる中で、「テニスに詳しい芸人」の需要も高まったからだ。

「ネットで“テニス/芸人”って検索したら僕がヒットするようになったので、いくつかの情報バラエティ番組に呼んでいただけた。あれで一気に『吉本にテニス芸人ってのがいるようだ』と知られたみたいです」

 ついに感じることができた、スポットライトの当たる場所に足を踏み入れたという充実感。同時にその頃を境に、彼は、お笑い芸人としてライブ等に出るのをやめたという。

「テニス芸人一本でやろう」
 そう心に決めたのは、数珠つなぎに続いた出会いと仕事の広がりに、「テニスに導かれている」と感じたからだ。そして、その運命の輪の内に身を置くことが「僕自身、うれしかったし楽しかった」からに他ならない。
 
 だからこそ彼は、芸人という肩書以上に、テニスという競技……あるいは、テニスコミュニティを重視する。なおかつ「テレビに出る」ことにこだわるのは、やはりそれが、一般の人々に最もリーチできる手段だからだ。

「テニスを普及したい、少しでも多くの人にテニスの魅力を伝えたい」
 そんな使命感にも似た情熱を、彼は厚い胸いっぱいに詰め込んでいる。

「僕はテニスを見る人も、やる人も増やしたい。例えば今回の和歌山のイベントにしても、来てくれたお客さんは、絶対に加藤未唯選手を好きになったと思うんです。僕からしたら『テニスをやっているのに加藤選手を知らなかったらもったいない、未唯ちゃん知らなかったら損してるよ!』って思うので、選手のことを多くの人に知ってもらいたいんです。

 それにテニスはやるスポーツとしても、競技者は寿命が長いというデータもあるし、生涯スポーツとしてできる。やらない理由なんてないですよね」

 そう言葉に熱を込める彼の、将来の夢は「自分のテニスアカデミーを作ること」。
「年に1回は、プロの選手を呼んでイベントやクリニックをやったり、コートを開放してみんなで試合をやったり……そんなテニスのお祭りを開くアカデミーを作りたいんです」

 ふらっと公園に来る感覚で、テニスができる場所を作ること――それこそが、今の彼が目指す「人生のゴール」だ。

取材・文●内田暁

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