連戦の疲れを残した翌週のマルセイユでは初戦で敗れるも、続くドバイのATP500でも3つの勝利を連ね、完全復調を印象付ける。とりわけ、「自分のテニスで戦えた感はすごくあるので、自信はつく」と声に力を込めた2回戦のダビド・ゴファン戦では、全盛期を彷彿させるタイミングの早さと糸を引くような球筋の美しさ、そして新たに磨いたネットプレーをも存分に披露。
「今のレベルで、トップ10の選手とも十分に戦えると思う」と、自信のレベルをも一段階引き上げた。
ロッテルダムに続き、ドバイでもベスト8に勝ち上がった錦織だが、そこで彼の行く手を阻んだものは、高まる「自分への期待感」という内なる敵だったかもしれない。ロッテルダムでボルナ・チョリッチに敗れた後は、「勝ちたいという気持ちが前に出たのか硬くなった」と敗因を分析した。
ドバイでの、ロイド・ハリス敗戦後の「チャンスはあったので、もうちょっと上に行きたかった」の言葉にも、悔いの色が浮き上がる。第2セット以降主導権を握りながらも、ブレークポイントを逃した後の、一瞬の心のエアポケットに足を取られたかのような敗戦。それだけに、勝つべき試合を逃したとの思いは強かっただろう。
本人が断言してきたように、ボールを打ち抜く感覚は取り戻した。連戦を勝ち抜く体力も問題ない。そのなかで今の錦織が欲するのが「安定感」だという。
「大事なところのプレーだったり、ちょっと弱気になってラケットを振り切れないタイミングがあったり……そういう細かいところは直していきたい」
勝利は当然となったその先で、次なる扉をこじ開ける鍵を、彼はそこに求めた。
周囲は錦織の目指す地点を、「かつていた場所」とみなしがちだ。だが当の本人は、「これは新しい旅」だと明言する。
手のひらに刻んだ手応えと、自信を携え挑むマイアミ・オープンは、その新たな旅の序章クライマックスとなる。
取材・文●内田暁
【PHOTO】錦織圭、2021年シーズンの戦いぶりを厳選写真で特集!
「今のレベルで、トップ10の選手とも十分に戦えると思う」と、自信のレベルをも一段階引き上げた。
ロッテルダムに続き、ドバイでもベスト8に勝ち上がった錦織だが、そこで彼の行く手を阻んだものは、高まる「自分への期待感」という内なる敵だったかもしれない。ロッテルダムでボルナ・チョリッチに敗れた後は、「勝ちたいという気持ちが前に出たのか硬くなった」と敗因を分析した。
ドバイでの、ロイド・ハリス敗戦後の「チャンスはあったので、もうちょっと上に行きたかった」の言葉にも、悔いの色が浮き上がる。第2セット以降主導権を握りながらも、ブレークポイントを逃した後の、一瞬の心のエアポケットに足を取られたかのような敗戦。それだけに、勝つべき試合を逃したとの思いは強かっただろう。
本人が断言してきたように、ボールを打ち抜く感覚は取り戻した。連戦を勝ち抜く体力も問題ない。そのなかで今の錦織が欲するのが「安定感」だという。
「大事なところのプレーだったり、ちょっと弱気になってラケットを振り切れないタイミングがあったり……そういう細かいところは直していきたい」
勝利は当然となったその先で、次なる扉をこじ開ける鍵を、彼はそこに求めた。
周囲は錦織の目指す地点を、「かつていた場所」とみなしがちだ。だが当の本人は、「これは新しい旅」だと明言する。
手のひらに刻んだ手応えと、自信を携え挑むマイアミ・オープンは、その新たな旅の序章クライマックスとなる。
取材・文●内田暁
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