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海外テニス

万全の練習を重ね「自信も付いてきた」と錦織圭。新コーチと磨いたネットプレーが聖地でどう機能するかに注目<SMASH>

内田暁

2021.06.28

錦織が初戦で戦うポピリン(左)は21歳の成長株で、強力なフォアとサービスが武器。また、総合力の高い22歳のルード(右)とは2回戦で当たるかもしれないドローで、強敵が続く。 (C)Getty Images

錦織が初戦で戦うポピリン(左)は21歳の成長株で、強力なフォアとサービスが武器。また、総合力の高い22歳のルード(右)とは2回戦で当たるかもしれないドローで、強敵が続く。 (C)Getty Images

 ドローのボトムハーフに入ったため、錦織のウインブルドンは開幕翌日の火曜日に幕を開ける。対戦相手は、オーストラリアのアレクセイ・ポピリン。その潜在能力を目利きコーチのパトリック・ムラトグルに見出され、チチパスらと共に、専属スタッフによる指導を施されてきたエリートだ。

 サービスとフォアハンドを武器とする超攻撃的スタイルは、盟友チチパスとも通ずる新世代のテニス。今年2月に初のATPツアータイトルも手にするなど、この半年ほどで急成長を見せている。

 そのポピリンについて錦織は、「彼とは、フレンチで1回練習したんですが、サーブとフォアは強烈ですね。その2つには気を付けて」と警戒する。同時に、「そのぶん、動きとバックは弱いかなと思うので」と、早くも戦い方を思い描けている様子だ。

 開幕前に練習したチチパス、そしてハーレ大会で対戦したセバスチャン・コルダも、長身でサービスとフォアが強烈な選手。その意味では、対戦をイメージもしやすいのかもしれない。
 
 今名を挙げた20歳前後の“次世代選手”に象徴されるように、昨今は、若手の台頭および選手の大型化に伴う、テニスの変質が顕著だ。

 それは錦織自身も、肌身で感じている潮流。

「パワープレーヤーは増えてますね、確かに。それと同時に、弱点が少ないというか、全体にしっかりしている選手が増えてきていると思います。昔はもっと、明らかにバックが弱いという選手がいたりしたので」

 そのような印象を口にした錦織は、「(キャスパー)ルードとか、フェリックス(オジェ-アリアシム)もそうですし」と具体的な選手名にも言及した。ここで錦織が名を挙げたのは、恐らくは最近の活躍などから、とっさに頭に浮かんだ選手に過ぎないだろう。

 ただ奇しくもルードは、錦織が初戦を突破した場合、2回戦で当たる可能性の高い選手だ。元世界39位のツアー選手を父に持つルードは、183センチとそこまで大柄ではないが、総合力の高い選手。昨年ツアータイトルをつかみ、今がキャリア最高位(14位)という、まさに脂の乗っている22歳だ。

 それら押し寄せる若手の波に、錦織もまた、新たな武器を携え立ち向かう。2年ぶりとなるウインブルドンの瑞々しい芝で展開されるのは、フレッシュな戦いだ。

現地取材・文●内田暁

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