2015年から二人三脚で歩んできたオーストリア系アメリカ人は、土居の才能の一番の信奉者なのだろう。そのザハルカや信頼できる人々の後押しもあり、2019年には再びグランドスラムの舞台に戻る。
「この調子でいけば、東京オリンピックの頃には、出られる位置にいられるかな?」そう感じたのは、今年2月の頃だった。
土居にとってオリンピックは、そのつど自分の現在地を測る、定点観測のような存在だろう。
その5年前の前回大会と、今との最も大きな変化は——? そう問うと土居は、うーんと小さくうなった後、「厚みは増したんじゃないですかね?」と、少し照れたように言った。
「経験とか心とか……キャリア長いですからね。今でも、動じますよ。普通に動じるし緊張もするけれど、でも経験してきたのは大きいと思います」
それらの経験の中で今の自分の支えを問うと、彼女は少し考えてから、納得いく言葉が見つかったかのように、こう答えた。
「戻ってきた。腐らなかった。続けてきた。めっちゃ簡単なワードですけど、続けてきた……ということかなと思います」
「めっちゃ簡単なワード」という言葉にこそ、勝負の世界の絶対的な真理と、その真理に忠実であった足跡への誇りがにじむ。
東京の地で戻ってきた、オリンピックのコート——、それは、腐らず続けてきたことへの、何よりの証明であり対価だ。
文●内田暁
【PHOTO】土居のサービスフォームの変遷。2010年と2016年を比較したフォームの変化がわかりやすい連続写真
「この調子でいけば、東京オリンピックの頃には、出られる位置にいられるかな?」そう感じたのは、今年2月の頃だった。
土居にとってオリンピックは、そのつど自分の現在地を測る、定点観測のような存在だろう。
その5年前の前回大会と、今との最も大きな変化は——? そう問うと土居は、うーんと小さくうなった後、「厚みは増したんじゃないですかね?」と、少し照れたように言った。
「経験とか心とか……キャリア長いですからね。今でも、動じますよ。普通に動じるし緊張もするけれど、でも経験してきたのは大きいと思います」
それらの経験の中で今の自分の支えを問うと、彼女は少し考えてから、納得いく言葉が見つかったかのように、こう答えた。
「戻ってきた。腐らなかった。続けてきた。めっちゃ簡単なワードですけど、続けてきた……ということかなと思います」
「めっちゃ簡単なワード」という言葉にこそ、勝負の世界の絶対的な真理と、その真理に忠実であった足跡への誇りがにじむ。
東京の地で戻ってきた、オリンピックのコート——、それは、腐らず続けてきたことへの、何よりの証明であり対価だ。
文●内田暁
【PHOTO】土居のサービスフォームの変遷。2010年と2016年を比較したフォームの変化がわかりやすい連続写真