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海外テニス

「戻ってきた。腐らなかった」一時は引退も考えた土居美咲が、自信を持って2度目のオリンピック出場へ<SMASH>

内田暁

2021.07.24

経験を積んできたという30歳の土居美咲。(C)Getty Imagaes

経験を積んできたという30歳の土居美咲。(C)Getty Imagaes

 2015年から二人三脚で歩んできたオーストリア系アメリカ人は、土居の才能の一番の信奉者なのだろう。そのザハルカや信頼できる人々の後押しもあり、2019年には再びグランドスラムの舞台に戻る。

「この調子でいけば、東京オリンピックの頃には、出られる位置にいられるかな?」そう感じたのは、今年2月の頃だった。

 土居にとってオリンピックは、そのつど自分の現在地を測る、定点観測のような存在だろう。

 その5年前の前回大会と、今との最も大きな変化は——? そう問うと土居は、うーんと小さくうなった後、「厚みは増したんじゃないですかね?」と、少し照れたように言った。

「経験とか心とか……キャリア長いですからね。今でも、動じますよ。普通に動じるし緊張もするけれど、でも経験してきたのは大きいと思います」
 
 それらの経験の中で今の自分の支えを問うと、彼女は少し考えてから、納得いく言葉が見つかったかのように、こう答えた。

「戻ってきた。腐らなかった。続けてきた。めっちゃ簡単なワードですけど、続けてきた……ということかなと思います」

「めっちゃ簡単なワード」という言葉にこそ、勝負の世界の絶対的な真理と、その真理に忠実であった足跡への誇りがにじむ。

 東京の地で戻ってきた、オリンピックのコート——、それは、腐らず続けてきたことへの、何よりの証明であり対価だ。

文●内田暁

【PHOTO】土居のサービスフォームの変遷。2010年と2016年を比較したフォームの変化がわかりやすい連続写真
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