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海外テニス

圧勝劇の大坂なおみ、全豪初戦でこだわった「何をこの試合から学ぶか」が示す成長の度合い<SMASH>

内田暁

2022.01.18

ガムシャラに挑んでくるオソリオ(写真右)にかつての自分を重ねながら戦った大坂。(C)Getty Images

ガムシャラに挑んでくるオソリオ(写真右)にかつての自分を重ねながら戦った大坂。(C)Getty Images

「セカンドサーブの時、彼女が踏み込んできたことはわかっていた。ただ私のサーブも悪くない。色々と織り交ぜていこうと思っていた」
 
 実際に大坂は、豊富なサーブのバリエーションで、相手のリターンを封じてみせた。まずは、深く打ち込むセカンドサーブでのウイナーを奪うと、ワイドに切れるスライスサーブ、そして最後はセンターに叩き込むセカンドサーブでキープに成功。相手に傾きかけた流れをせき止めると共に、第1セットを先取した。

 第2セットでは、相手も持ち味のドロップショットやスライスを多用するが、大坂はスライスには、自らもスライスで対応していく。

「スライスは、以前から練習はしていたけれど、試合で使う余裕がなかった。今は試合を楽しみ、ミスを気にしない心持ちでいるから、上手く打てるようになったんだと思う」

 ショットバリエーションを武器とするオソリオだが、大坂にことごとく対応されては、打つ手がない。終わってみれば、自力で勝る大坂が6-3、6-3のスコアで貫録の勝利を手にした。
 
 選手間で「とても明るく礼儀正しい」と評判の20歳は、敗戦にも笑みを広げ、あいさつのためにネットへと駆け寄っていく。

「ありがとう。ありがとうございます」

 握手とともに謝意を述べる若き挑戦者に、大坂も笑みをこぼし、何か長く言葉を返した。
 
 大坂が、かつての自分を重ねた新鋭へと伝えた思い。それは、いかなる内容だったのか……?

「大会の何が凄いかというと、タオルを持ち返っていいことだと教えてくれた。彼女はスターなのに、すごく普通なの」

 オソリオが、興奮気味に顛末を明かした。
 
 多くの選手から挑戦を受ける今の大坂にとって、初戦は「結果ではなく、何をこの試合から学ぶかが大事」だと言う。

 相手の心境を読み、いつもと違うプレーをしてくると予測した冷静さ。

 試合中、追い上げられるも耐えてせき止めたメンタリティ。
 
 そして、変わらぬ自然体な立ち居振る舞い

 この試合で大坂が得たものは、単なる1勝以上に大きいかもしれない。

現地取材・文●内田暁

【PHOTO】4カ月ぶりの復帰戦となるメルボルンサマーセット1で躍動する大坂なおみを特集!
 
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