専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

青山修子/柴原瑛菜が全豪ベスト4進出!頂点を目指すエネルギーは“二人の化学反応”<SMASH>

内田暁

2022.01.26

「目標はグランドスラム優勝」という二人にとって準決勝進出は通過点にしかすぎない。(C)Getty Images

「目標はグランドスラム優勝」という二人にとって準決勝進出は通過点にしかすぎない。(C)Getty Images

 数字ほどに簡単な試合でなかったことは、二人の「このスコアは意外」の言葉に映される。事実、4度のデュースを繰り返した第2セットの第8ゲームを取られていたら、試合の流れは変わっていたかもしれない。

 この苦しいサービスゲームを、青山は「マルティッチ選手はIフォーメーションを嫌がっている」と感じ、セカンドサービスでI(アイ)フォーメーションを貫いて取り切った。

 続くリターンゲームでは、「ワイドにキックサーブを打ち、前衛がポーチに出る」という相手の攻撃パターンを察した青山が、柴原に「リターンをストレートに思い切って打ってみたら」と助言する。そのアドバイスを胸に「ストレートに打つと決めていた」という柴原が、ブレークポイントで豪快なリターンウイナーを叩き込んだ。

 最後の柴原のサービスゲームでは、青山が3連続でポーチを決め、ベスト4への扉を開く。勝負所を見極め、磨いた武器で確実に仕留める、まさにダブルス・スペシャリストの真骨頂だった。
 
 第2シードとしてのベスト4進出は、順当な結果のようにも見える。

 ただ青山が「数字なので気にしていない」と言うように、シード順は何かを保証するものでは決してない。現に、準々決勝の相手はノーシード。そして27日の準決勝で当たるダニリナ/ハダッドマイヤーも、接戦を勝ち上がってきたノーシードだ。

 この世界に長く身を置き、ダブルスの真理を知る青山は、「自分が第2シードというのは、面白いなって」と、どこか他人事のように笑った。

 一方の柴原は、「第2シードになれたのは、去年すごく良い結果を出し続けたから」と、得た地位を実績と実力の対価と捕らえ、自信へと昇華する。

 青山の冷静さと、柴原のポジティブな姿勢——。

 その二大要素の化学反応は、グランドスラムの頂点という目標に向け、さらなるエネルギーを生みだしている。

現地取材・文●内田暁

【PHOTO】青山/柴原ら、世界で戦う日本人女子テニスプレーヤーたち!

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号