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国内テニス

日本リーグで鮮烈なデビューを飾ったプロ1年目の熊坂拓哉。急成長を支えたサービス特化型トレーナーの存在<SMASH>

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2022.03.12

柴原トレーナーに付いてサービスの強化を図ったことが、試合での好結果に結び付いていると熊坂は語る。写真:田中研治

柴原トレーナーに付いてサービスの強化を図ったことが、試合での好結果に結び付いていると熊坂は語る。写真:田中研治

 その効果が少しずつ試合にも表れてきたところで迎えたのが日本リーグだった。だから今回の活躍は本人にとって想定外ではなかった。徳田や斉藤は熊坂から見れば「格上の選手」だが、1stステージで見事に勝利。これまでは「そういう相手に勝ち切れないことが多かったけれど、勝ち切れて自信になりました」と確かな手応えを得た。

 決勝トーナメントでは徳田に雪辱を許したが、今度は菊池玄吾(エキスパートパワーシズオカ)から白星をもぎ取り、また存在感を示した。今や若手プロの中でも警戒される存在になってきている。

 熊坂は日大山形高校出身。ジュニア時代の最高成績はインターハイ3回戦で、決してトップジュニアではなかった。しかし大学の4年間で力を付け、卒業後も成長を続け、ここまでになった。
 
 彼がプロになろうと決意したのは、大学1年の冬に全豪オープンをセンターコートで観戦し、「いつかここでプレーしたい」と思ったことが原点になっているという。当時は何の実績もなく、こう言っては失礼だが、プロなど非現実的な目標だったろう。

 しかしそれを本気で思い続け、実現してしまう執念深さのようなものが彼には感じられる。亜大の森稔詞コーチによれば、普段の練習でも、相手がいなければ球出しマシーンを持ち出して何時間でも打ち続けるのが常だという。

 熊坂に今後の目標を聞くと「グランドスラムのセンターコートでプレーすること」とブレがなく、「ここ5年くらいで達成したい目標」だと言い切る。

 これも多くの人が途方もない夢だと思うだろう。だが、熊坂のことだからまた少しずつ階段を上り、実現してしまうかもしれない――そんな期待を抱かせる未知数の選手である。

取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)

【PHOTO】身体を柔軟に使った熊坂拓哉のフラットサービス『30コマの超分解写真』
 

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