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海外テニス

37歳のワウリンカが2度の大手術を経てもテニスを続ける理由「まだ全てを達成したわけではない」<SMASH>

レネ・シュタウファー

2022.08.11

37歳という年齢を考えればケガを克服しての戦線復帰は難しいと思われていたが、ワウリンカの心の奥にはテニスを愛する炎が燃え上がっている。(C)Getty Images

37歳という年齢を考えればケガを克服しての戦線復帰は難しいと思われていたが、ワウリンカの心の奥にはテニスを愛する炎が燃え上がっている。(C)Getty Images

 今回のパリでの治療後、ワウリンカは同クラブの別の治療センターへ2カ月間移った。10カ月間ラケットを手にしなかった彼が再ボールを打ち込み始めたのは、22年2月からだった。

 そして、ロジャー・フェデラーと同じフィットネストレーナーと一緒に微調整を始めた。現在37歳のワウリンカは、「全てを完全に作り直さなければならないので、非常に慎重に進めないと意味を失ってしまう」と言う。復帰戦は、かつて優勝した4月開催のモンテカルロ大会が予定されていた。

 しかし彼はなぜ、今後数回の大会に出場するために、こんなにも厳しいことを実行したのか? その答えには彼ならではの謙虚さが含まれている。

「僕はまだテニスで全てを達成したわけではない。それにケガで辞めてしまうのは絶対に嫌だった」。つまり、ワウリンカは自分の望む形でキャリアを終えるためにコートへと戻ろうとしていたのだ。

 ワウリンカの目標は、再び大きな感動を味わうこと。自分の中でテニスを愛する炎をまだ感じており、そのために日々努力をいとわない。「その思いがある限り、挑戦し続ける。テニスプレーヤーであることは、とても幸せなことなのだから」。
 
 再びタイトルを取ることを夢見ており、もしも実現すれば5年ぶり(ジュネーブ・オープン)の戴冠となる。その一方で、自分のレベルが適正でなければ、すぐに仕事の喜びを失ってしまうことも知っている。

「手術前は目標に向かって努力するように頑張っていた。気持ちが高ぶっていた。これからもその状態を維持したい」のは当然だが、彼ほどの選手ならばさらに高い目標を設定してもよくないだろうか。

 もしもこの1~2年の間ずっと痛みがなく、ハイレベルでプレーできれば、全ての苦労が報われた、ということになる。だが相棒のフェデラーが現在取り組んでいるカムバックと絡めてワウリンカは、「レベルだけにこだわってはいけない」と自らを戒める。

「僕にとって最も重要なのは、再びどのレベルに到達できるかということではないんだよ。むしろ自分の限界に挑戦するために、全てをやり遂げようとする炎が、どれだけ強いかを実感したい」

 精神的な成熟とテニスに賭ける愛情は、2度目の大手術を受けたワウリンカを別次元に覚醒させたと言えないだろうか。

 今年8月8日時点のランキングは322位と低迷するが、それでも8月29日に開幕する全米オープンには、プロテクトランキング(負傷離脱者を対象にした救済措置)を使用してコートに立つつもりだ。

取材・文●レネ・シュタウファー
ITWA(国際テニスライターズ連盟)正会員。経験豊富なスイス人テニスジャーナリストで欧州を中心に第一線で活躍しており、フェデラーやヒンギスとは親交が厚い。2018年に発刊したフェデラーをテーマにした著書はスイスでベストセラーとなっている。
※本掲載記事はスマッシュ2022年6月号から抜粋・再編集

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