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海外テニス

17歳の黄川田莉子が全豪OPジュニアでグランドスラムデビュー「すごく良い経験だった」<SMASH>

内田暁

2024.01.23

黄川田(左)のグランドスラム初挑戦は惜しくも初戦敗退。そのプレーぶりを見守ったコーチの尾﨑文哉氏(右)。写真提供:内田暁

黄川田(左)のグランドスラム初挑戦は惜しくも初戦敗退。そのプレーぶりを見守ったコーチの尾﨑文哉氏(右)。写真提供:内田暁

 黄川田本人は「お父さんの現役時代の動画とかは、あんまり見たことがなくて……」と苦笑を浮かべる。

「でも、絶対に愛される選手にならなきゃダメだよっていう話しは、よくしています。シフィオンテク選手は、今回は負けたけれど、すごい応援だったじゃないですか。負けても、ついてきてくれる人がいっぱいいる。そういう選手にならなきゃダメということは、もうほんとに小さい頃からよく聞かされていました」

 そう言及する父親のみならず、黄川田の母のとしえさんも、著名な料理家。

 加えるなら、憲司氏の実弟……つまり黄川田莉子の叔父にあたる黄川田雅也は、映画やドラマで活躍する俳優である。黄川田の“見られる”、あるいは“魅せる”ことへの感受性は、そのような家庭環境と無関係ではないだろう。

 その感度の高いアンテナに多くを受信し、胸を膨らませて向かった、全豪オープンジュニアの試合のコート。

 数日前から「ワクワク」し、試合の日の朝起きた時も、思いのほか緊張はなかったという。いざ試合が始まっても、動悸や、「頭の中が白くなる」というようなことはない。

 ところが……身体が、動かない。
 
「頭の中では、やるべきことはちゃんとあったんです。心臓がドクドクすることもなかったんですが、身体動かなくて……。足が入らなかったり、スイングができなかったりで、本当にしょうもないミスがあったり」

 第1セットはリードを許し、追いつくも一歩届かない。

 第2セットはゲームカウント4-0とリードを広げながらも、追いつかれ逆転を許した。韓国のガウル・チャン相手に、スコアは4-6、6-7(3)。

 試合が終わり気付いたのは、いつもだったら感じるはずの、身体の疲労感が少ないこと。

「ボールと仲良くできなかった」

 種々の悔いが、その一言に込められていた。

 家族や関係者以外の人々も多く観戦し、テレビカメラも回るなかでの試合は、ほぼ初めて。いざ自分がその場に立った時に身体と心がいかに反応するかを知れたのは、「すごく良い経験だった」と小さく笑う。

 ジュニアカテゴリーは今大会で卒業し、ここからは“大人”の大会に出ていく予定。

 いつか、またこの舞台に――その夢に、確かな輪郭を描いて。
 
現地取材・文●内田暁

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