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海外テニス

17歳の坂本怜が全豪オープンジュニア優勝!「地震で苦しむ方に僕ができるのは明るい話題を届けること」<SMASH>

内田暁

2024.01.28

優勝を決めた坂本はコート上で抜刀しながら天を仰ぐ“サムライポーズ”を披露した。(C)Getty Images

優勝を決めた坂本はコート上で抜刀しながら天を仰ぐ“サムライポーズ”を披露した。(C)Getty Images

 その最終セットで、終始主導権を握ったのは、坂本だ。リターンでも高くポジションを取り、相手にプレッシャーをかけていく。第3ゲームは、粘りの守備から気合いのフォアハンドを叩き込み、ラブゲームでブレークした。

 だが直後のゲームでブレークを許す。以降も、坂本は幾度もブレークのチャンスをつかむも、決めにいった強打がネットに掛かるなど、どうしても一本を取り切れない。息詰まる並走状態のまま、試合は終盤の第11ゲームを迎えた。

 このゲームでも坂本は、3本のブレークチャンスをつかむも、そのたびに相手のサービスに行く手を阻まれる。それでも気持ちを切らさず、リターンで掛け続けた重圧は、相手の双肩に重くのしかかった。5度のデュースの末に、最後はダブルフォールト。ついに坂本の手に、待望のブレークが転がり込んだ。

 そして続く、頂点へのサービスゲーム——。もはや相手に、挽回するだけのエネルギーは残っていなかった。最後はラリー交換の末に、相手のバックがワイドに切れていく。ファイナルセット、スコアは7-5。
 
 その時、アリーナの巨大スクリーンに映し出されたのは、坂本が浮かべる笑みと、片膝をその場に付く姿。恐らくは観客の多くは、疲労と安堵から跪いたと思っただろう。ただその後に勝者が見せたのは、ラケットを日本刀に見立て、抜刀しながら天にかざす「侍ポーズ」。ラケットが指す先を見上げながら、自らの勝利を誇らしげに祝福した。

 コート上の雄々しい姿とは裏腹に、ラケットを持たぬ時の彼は、飄々とした佇まいながら、その内に秘める繊細な内面をも滲ませる、色彩豊かな青年だ。

 優勝会見で、地元メディアにテニスを始めた理由を問われた時も、「初めてラケットを手にした時、ラケットの声を聞いた。ラケットが僕に話しかけてきた」と応じるなど、どこかつかみどころがない。

 優勝スピーチでも、まずは「グッダイ!」と「good day」のオーストラリア風アクセントであいさつし、観客たちの笑いを誘う。その後は、対戦相手やチームスタッフ、IMGアカデミー留学の機会を与えてくれた盛田正明氏らに敬意を表した後、日本語で続けた。

「2024年のお正月に、日本で大きな地震がありました。今も苦しい思いをされている方もいると思います。僕がスポーツ選手としてできることは、少しでも明るい話題を届けること。なので、今日勝つことができてとても良かったです」
 
 人から見られること、支えられることを強く自覚し、だからこそ人々に何かを与える使命感をも柔らかく受け止める。そんな新時代のスター候補が、1月のメルボルンで誕生した。

現地取材・文●内田暁


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