“スーパーテニス”が発足したのは、2008年。デビスカップやフェドカップの中継に始まり、ATPツアー、WTAツアー、そしてウインブルドンと徐々に放映も拡張し、23年からは全米オープンの放映権も獲得した。
この“スーパーテニス”の、何がそこまで特別なのか?
一つは、完全に無料な点。地上波やケーブルチャンネルを通じ、誰もが24時間、ただで視聴が可能だ。その手軽さもあって、イタリア国内では『ユーロスポーツ』を上回る視聴者数を獲得しているという。
そして、スーパーテニス最大の特異性は、このチャンネルが、イタリアテニス・パデル協会によって完全に所持、運営されている点だ。テレビを用いたテニスの普及活動は、イタリア国際(ATPマスターズ1000、WTA1000共催大会)の観客動員やチケット売り上げという形で、経済的に還元される。同大会のチケット購入者数は、チャンネルがスタートした08年時の9万9000人から、10年後には倍増以上の22万4000人に達した。
この、イタリアテニス・パデル協会最大のドル箱に入った資金を、今度はATPチャレンジャーなどの大会開設、運営に用いたという。これら大会群の重要性に端的に言及したのが、シナーその人だ。2年前の全豪オープン時に、イタリア男子台頭の理由を尋ねた時、当時20歳の新鋭は次のように即答した。
「ATPチャレンジャーなどの、多くの大会がイタリア国内で行なわれていることが大きい。若手はワイルドカード(主催者推薦)を得て出場できる。もちろん、すぐに勝てるわけではない。でも協会は、負けた後も会場に残り、上の選手たちと練習できるようにアレンジしてくれた。それが大きいと思う」
この言葉を聞いて思い出したのは、19年のローマ・マスターズでのこと。この年、ワイルドカードを得て同大会に出場していた当時17歳のシナーは、2回戦敗退後の数日後に、会場で錦織圭のヒッティングパートナーも務めていた。
23年末にイタリアは、シナーの獅子奮迅の活躍もあり、47年ぶりにデビスカップを制した。
そして今年1月。オーストラリアの伝説的名選手、ノーマン・ブルックスの名を冠した優勝トロフィーを抱いたシナーは、「イタリア人として初めて、そこに名を刻む意義」を問われた時に、こう即答した。
「すごく大きい。たぶんそれが、一番大切なことだった。僕がこの何年も受けてきたサポートは素晴らしいものだ。彼らが喜んでくれると思うとうれしい。彼らは僕の背を押してくれたし、彼らのサポートがあったからこそ、僕は自分自身を信じることができたんだから」
現地取材・文●内田暁
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そして、スーパーテニス最大の特異性は、このチャンネルが、イタリアテニス・パデル協会によって完全に所持、運営されている点だ。テレビを用いたテニスの普及活動は、イタリア国際(ATPマスターズ1000、WTA1000共催大会)の観客動員やチケット売り上げという形で、経済的に還元される。同大会のチケット購入者数は、チャンネルがスタートした08年時の9万9000人から、10年後には倍増以上の22万4000人に達した。
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この言葉を聞いて思い出したのは、19年のローマ・マスターズでのこと。この年、ワイルドカードを得て同大会に出場していた当時17歳のシナーは、2回戦敗退後の数日後に、会場で錦織圭のヒッティングパートナーも務めていた。
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そして今年1月。オーストラリアの伝説的名選手、ノーマン・ブルックスの名を冠した優勝トロフィーを抱いたシナーは、「イタリア人として初めて、そこに名を刻む意義」を問われた時に、こう即答した。
「すごく大きい。たぶんそれが、一番大切なことだった。僕がこの何年も受けてきたサポートは素晴らしいものだ。彼らが喜んでくれると思うとうれしい。彼らは僕の背を押してくれたし、彼らのサポートがあったからこそ、僕は自分自身を信じることができたんだから」
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