「先日も、ルバキナの試合について話したんです」とフィセッテ氏が明かす。「彼女が、(アブダビ大会の)コリンズ戦で勝った試合を例に挙げながら、大切なポイントで集中力を上げる様子などは素晴らしいということなどを」
そのような会話の成果だろうか。カタール・オープン2回戦での大坂は、ペトラ・マルティッチ(クロアチア/同67位)相手に、まさに大切なポイントを取り切った。第1セットを6-3で先取し、第2セットもセットカウント5-4とリードして自身のサービスゲームを迎える。だがここでブレークを許すと、タイブレークではたちまち0-4とビハインド。相手に追い風が吹いているかに思われた。
試合後に大坂は、「あの場面での私は、正直、スコアのことは考えていなかった」と振り返る。
「第2セットの最後のサービスゲームの時、私はかなり集中していた。それだけにブレークされた時は落ち込みそうになったけれど、プレーは悪くないと自分に言い聞かせた。タイブレークの序盤では、かなり緊張感していたので、まずはリラックスし、心を落ち着かせるようにした。結果的には、それがとても良かったと思う」
果たしてタイブレークでは、3-6から4ポイント連取しマッチポイントへと至る。そこからは一進一退の攻防が続くも、緊張の場面でも攻めることを恐れない。最後は相手のダブルフォールトで転がり込んだ勝利ではあるも、これも大坂がリターンでプレッシャーを掛け続けた帰結だ。
「グランドスラムで連続優勝した頃を10とするなら、今はどれくらいまで戻ってきているか?」
この問いに対し、大坂とフィセッテ氏はいずれも「ある部分では、今の方が以前よりも良い」と声を揃える。その上で大坂は、「試合勘という意味では、あまり問題はない。妊娠中に当然体重がかなり増えたので、もっと身体を絞り、必要な部分に筋肉をつけなくてはいけない」と言った。
一方のコーチにとって、今、何より手応えを感じているのは、大坂のテニスへの姿勢だという。
「この間話していた時に、彼女が言ったんですよ。『ねえウィム、今、すっごく楽しいの』って。その言葉が聞けたことが、本当にうれしかった」
穏やかな口調と笑みで、フィセッテ氏が振り返った。
なお大坂がマルティッチと対戦するのは、14年のスタンフォード大会の予選決勝以来。当時16歳の大坂はその後、本戦初戦でサマンサ・ストサー(オーストラリア/当時19位)にも勝利し、センセーショナルなツアーデビューを果たした。
その10年前の衝撃を、まるで再現しているかのようなキャリアの再スタート。来たる準々決勝で大坂は、今年1月のブリスベン国際で対戦し、フルセットで逆転負けを喫したカロリーナ・プリスコワ(チェコ/世界59位)へと挑む。
現地取材・文●内田暁
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試合後に大坂は、「あの場面での私は、正直、スコアのことは考えていなかった」と振り返る。
「第2セットの最後のサービスゲームの時、私はかなり集中していた。それだけにブレークされた時は落ち込みそうになったけれど、プレーは悪くないと自分に言い聞かせた。タイブレークの序盤では、かなり緊張感していたので、まずはリラックスし、心を落ち着かせるようにした。結果的には、それがとても良かったと思う」
果たしてタイブレークでは、3-6から4ポイント連取しマッチポイントへと至る。そこからは一進一退の攻防が続くも、緊張の場面でも攻めることを恐れない。最後は相手のダブルフォールトで転がり込んだ勝利ではあるも、これも大坂がリターンでプレッシャーを掛け続けた帰結だ。
「グランドスラムで連続優勝した頃を10とするなら、今はどれくらいまで戻ってきているか?」
この問いに対し、大坂とフィセッテ氏はいずれも「ある部分では、今の方が以前よりも良い」と声を揃える。その上で大坂は、「試合勘という意味では、あまり問題はない。妊娠中に当然体重がかなり増えたので、もっと身体を絞り、必要な部分に筋肉をつけなくてはいけない」と言った。
一方のコーチにとって、今、何より手応えを感じているのは、大坂のテニスへの姿勢だという。
「この間話していた時に、彼女が言ったんですよ。『ねえウィム、今、すっごく楽しいの』って。その言葉が聞けたことが、本当にうれしかった」
穏やかな口調と笑みで、フィセッテ氏が振り返った。
なお大坂がマルティッチと対戦するのは、14年のスタンフォード大会の予選決勝以来。当時16歳の大坂はその後、本戦初戦でサマンサ・ストサー(オーストラリア/当時19位)にも勝利し、センセーショナルなツアーデビューを果たした。
その10年前の衝撃を、まるで再現しているかのようなキャリアの再スタート。来たる準々決勝で大坂は、今年1月のブリスベン国際で対戦し、フルセットで逆転負けを喫したカロリーナ・プリスコワ(チェコ/世界59位)へと挑む。
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