ところがここからゲームを重ねるにつれて錦織の淡泊なミスが増加。疲労の影響からか相手の強力なショットに対応できない場面も目立ち、第6ゲームから立て続けに4ゲームを失って第3セットを落とす。その後もディアロの勢いを止められず2つのブレークを喫してセットオールに。第4セット終了時には錦織が臀部あたりの違和感を訴えてメディカルタイムアウトを取り、体力的にもこの段階で万事休すかと思われた。
それでも日本のエースは諦めていなかった。勝負のファイナルセットでは第1ゲームこそディアロの強打を受け止められずにブレークを喫した錦織だったが、第2ゲームでは4度のデュースを経て起死回生のブレークバック。膠着状態が続いた中で迎えた最終第12ゲームでは錦織が奇襲を仕掛ける。自身のフォアのウイナーや相手のミスで30-30とすると、続くポイントで意表を突くリターンダッシュを見せてマッチポイントを取得。最後はディアロのフォアの逆クロスがロングアウトとなり、4時間22分の死闘をものにした。
死力を尽くして価値ある勝利をつかみ取った錦織は試合後のWOWOWのインタビューで疲労困憊な様子を見せながら開口一番「早くロッカーに帰りたい」とコメント。続けて「第3セットからは相手が別人のように強くなったから、負けていてもおかしくなかった」と試合内容を振り返りつつ、「接戦を勝ち切れたのはいい経験になるのかなと思う」と喜びを語った。
苦しみながらもグランドスラム復帰初戦を白星で飾った錦織は2回戦で第15シードのベン・シェルトン(アメリカ/15位)とユーゴ・ガストン(フランス/88位)のどちらかと勝者と対戦する。フィジカル面は心配ではあるが、次戦も錦織がどんなプレーを見せてくれるのか注目しよう。
文●中村光佑
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【連続写真】スイング中に時間のズレを調節する、錦織圭のジャックナイフ
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