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海外テニス

勝利の鍵となったリターンでプレッシャーをかけ続けた大坂なおみ、スライディングを習得し苦手の芝を克服できるか<SMASH>

内田暁

2024.07.02

スライディングを得意とするジョコビッチ(右)にコツを尋ねたことがあるという大坂(左)。今大会でその試みが見られるのか注目だ。(C)Getty Images

スライディングを得意とするジョコビッチ(右)にコツを尋ねたことがあるという大坂(左)。今大会でその試みが見られるのか注目だ。(C)Getty Images

 芝で選手たちを悩ませるのは、グリップが効かず、止まったり切り返そうとすると、期せずして足を滑らせ時に転倒してしまう点。その芝の慣性を巧みに制御しているのが、このコートで7度優勝しているノバク・ジョコビッチ(セルビア/男子世界2位)だ。

 大坂はそのジョコビッチに、芝でスライディングするコツを尋ねたことがあるという。答えは「何度も試すこと」。たとえ幾度転ぼうとも、そのつど立ち上がり、またトライする。それこそが、彼こそが踏破した習得のための方法だったというのだ。

 ジョコビッチを参考にしているということで言えば、出産からの復帰以降、重点的に改善に取り組んできた“リターン”も挙げられる。以前はリターンの際に、足を前後に開き、歩くように前に踏み出していた大坂だが、今は足を水平に開き、両足で細かくスプリットステップを踏むようにしている。反応速度を速める狙いがあり、それもまた「リターンの名手であるジョコビッチを真似た」と、大坂は恥ずかしそうに明かしていた。
 
 久々のウインブルドンでの戦いとなった1回戦で、「勝利の鍵」に大坂が挙げたのも、リターンである。第1セットはその威力が誰の目にも明らかで、リターンポイント獲得率は、相手のファーストサービス時で44%、セカンドサービスでは67%を記録。しかも重要な場面で集中力を上げ、リターンで3連続ポイントを奪うゲームもあった。

 そこから一転、第2セットでは、相手の片手バックハンドから繰り出されるスライスに苦しめられる。ブレークも奪えなかったが、それでも手にしたブレークポイントは4本。

「スコアには現れなかったけれど、常に相手にプレッシャーをかけ続けていると感じていた」と、大坂は試合後に振り返る。そして「だからこそ、マッチポイントで彼女はダブルフォールトをしたのだろう」とも。相手のミスのように見えた終幕だが、その実、向上した大坂のリターンの対価だった。

 なお、芝でのスライディングについて大坂は、「何度かうまくいったけれど、まだ怖さを覚える。もっと茶色い部分が見えてきたら、やりやすくなるのかな」と言った。

「茶色い部分が見えてきた」時とはすなわち、芝が剥げ、土がのぞく大会後半。大坂の照準は、その時に定められている。

現地取材・文●内田暁

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