専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

寄付金額は一晩で3億6700万円に!地元キリオスの呼びかけにテニス界のスターが一致団結【オーストラリア森林火災】

内田暁

2020.01.17

チャリティーの発起人とも言うべきキリオス(右)は、フェデラーと本番さながらのゲームを披露した(中央の人物は地元ビクトリア州の消防士)。(C)GettyImages

チャリティーの発起人とも言うべきキリオス(右)は、フェデラーと本番さながらのゲームを披露した(中央の人物は地元ビクトリア州の消防士)。(C)GettyImages

 ダブルスでは、大坂がチチパスに「私、リターン苦手だから変わって?」と懇願したり、ガウフが1対3の孤独な戦いを強いられるなど、まさに何でもあり状態。ナダルと組んで発奮するジョコビッチが、テンション低めなズベレフ/チチパス組を指差しながら「ねえ、あれがネクスト・ジェンだってさ。信じられるかい、ものすごくトロトロしているよ」と若手イジリをした時には、ひときわ大きな笑いが巻き起こった。

 そしてイベントのクライマックスは、満を持して登場したキリオスと、フェデラーによる1セットマッチ。本戦さながらの高質なプレーの応酬は、スタンドからのどよめきと歓声を引き出した。

 イベント発起人のキリオスは、「こんなに多くの人々が賛同してくれてすごくうれしい。みんなで力を合わせれば、この悲劇を乗り越えられると信じている」と、改めてテレビ中継を介して訴えた。
 
 オーストラリア南東部を中心に広がる森林火災は、予選が開催中の全豪オープンにも直接的な影響をすでに及ぼしている。大気を舞う煙塵のために試合開始は予定より遅れ、試合中にはリードしていたダリラ・ヤクポビッチが、咳が止まらず棄権する事態まで起きてしまった。

 チャリティーイベントが行なわれた日も、雲がないにも関わらず朝から街は土気色に煙り、試合開始は予定より3時間遅れることに。この日に第1試合を戦った奈良くるみや守屋宏紀は、いずれも朝に試合会場を訪れた際に「1時間遅れる」と伝えられ、それから2度の「さらに1時間遅延」の告知を聞かされることになった。

 選手間でもヤクポビッチの棄権は話題となり、中止やインドアでの試合を強く訴える選手もいたという。ただここまでのところでは、予選で大きな動きはなし。トーナメントディレクターのクレイグ・タイリーは、「大気汚染を示す指数が、一定値を超えた時は試合をしない」と強調した上で、「大会は間違いなく月曜に始まる」と改めて断言した。

『Rally for Relief』は大盛況のうちに幕を閉じ、このイベントを通じ4,826,014オーストラリアドル(約3億6700万円)もの寄付金を集めた。

 火災との戦いにまだ終焉は見えていないが、この先も、選手たちの救済活動は続いていく。

取材・文●内田暁

【動画】大坂なおみが世界トップ選手とともに森林火災へのチャリティーイベントに参加
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号