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海外テニス

「とても大切な年です」国枝慎吾、円熟の技と経験で作り上げた”新しいスタイル”で10度目の全豪戴冠

内田暁

2020.02.03

第1セット1-4から見せた攻撃的なテニスはまさに圧巻だった。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

第1セット1-4から見せた攻撃的なテニスはまさに圧巻だった。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

 充実のプレシーズンを終え、「自信をもって」オーストラリアに入った国枝は、セットを落とすことなく決勝に勝ち上がる。

 その国枝と反対の山を上がってきたのは、ノーシードまでランキングを落としていたリード。リオ金メダリストの好調な姿を、国枝は「この年に合わせ、牙を研いてきているな」と警戒の目で見ていた。

 決勝戦の立ち上がりでは、そのリードの牙が国枝を襲う。客席から驚嘆の声を誘うリードの強打の前に、国枝は瞬く間に1-4とリードを広げられた。

「ここまでのゴードンはパーフェクト。このまま続けられたら厳しいな」

 そんな不安に襲われるが、同時に「これが最後まで続くはずはない」との読みもある。果たしてリードのショット精度は落ちていくが、これも、「打っても下がらず、相手を見てライジングで返し自分から振る」という国枝のテニスが、支配力を強めたがゆえだ。第1セットは、5ゲーム連取で逆転奪取。第2セットも先にブレークを許すも、ネットに出る相手の足を巧みなパッシングで封じ、ジリジリと形勢を逆転する。試合を決めた最後のプレーも、攻めに攻めて、自らの手で掴み取った。
 
 6年半前に、不安と期待に胸を満たして眺めた地点に、国枝は今、再び王者として近づきつつある。

「よくやっているなと感じます。そんなにもたないと思ったこともあったけど、自分を磨き続けた結果かなと思います」

 10度目の全豪タイトル――それは、新たなスタイルに円熟の技と経験を加味して掴んだ、捲土重来の戴冠だった。

文・内田暁

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