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海外テニス

「難しかったです」望月慎太郎が2日間にわたるウインブルドン1回戦を逆転勝利!四大大会初戦突破は自身初<SMASH>

内田暁

2025.07.02

重要な局面でこそ前に出たという望月は自身のプレーを貫いてキャリア初となる四大大会初勝利を手にした。(C)Getty Images

重要な局面でこそ前に出たという望月は自身のプレーを貫いてキャリア初となる四大大会初勝利を手にした。(C)Getty Images

「序盤はエネルギーを、ネガティブな方向にも使ってしまったところもある。それがなくなったのが、良かったのかな」

 気負いが抜け、本来のしなやかなプレーを取り戻した望月は、柔らかなネットプレーも連発し2セット連取でついに追いつく。日没のため、最終セット開始を待たず翌日順延となったのは、まさにこの時。追い上げムードに水を注されたかに見えたが、想定内だった望月は、「疲れもかなりあったので、ある意味良かった」とポジティブに捉えた。

 もっともその日の夜は、再び「勝ちたい気持ち」と戦うことになる。ベッドに入っても試合のことが頭をよぎり、なかなか眠りにつけない。ただここでも彼は、考え方を変えた。

「うれしいことを考えるようにした。コーチや友人たちと、こうして充実の時間を過ごせる自分は幸せだと思った」

 かくして夜は明け、迎えた最終セット。両者とも序盤から、サービスゲームをキープする緊迫の展開が続いた。その中でも目立つのは、望月の積極性。第7ゲームでは15-40でブレークの危機に直面するが、サーブ&ボレー、そしてサービスウイナーで切り抜ける。その後も望月は、重要な局面でこそ前に出た。
 
「相手のリターンは良かったけれど、逆に考えれば、サーブ&ボレーでちょうど取れるくらいのボールでもある。抜かれたら、仕方ない」

 そう割り切り、相手の心理をも読みつつ、彼は自分を信じたという。

 この試合での望月は、59回ネットに出て、うち46本を決めてみせた。突出した数字だが、本人は「数字にはこだわっていない。スタッツばかり見るのは、個人的には好きではない」という。確かに数字は、時に本質を見誤らせる。現にこの試合のスコアカードを見れば、エース数は望月の5に対しゼッピエリは22。総ポイント数もウイナー数も、ゼッピエリに軍配があがる。それでも最終スコアは、2-6、3-6、6-3、7-6(6)、7-5で、勝者は望月。彼が大切にする“感性”が、数字に勝った証左でもあった。

 2日間の死闘でグランドスラム(四大大会)初勝利をつかんだ望月は、相手と健闘を労った後、コート中央に歩みでると、「ウォー、カモーン!」と叫ぶ。

 この歓喜の雄叫びは、客席の隅々まで響き渡った。

現地取材・文●内田暁

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