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会社経営を嘱望されつつも、テニスコーチという天職を見つけた、ムラトグルの指導論

内田暁

2019.10.09

「思いどおりの回転量とスピードで狙ったところに打てることが、テニスで重要なこと」と、ムラトグルは言う。写真:スマッシュ編集部

「思いどおりの回転量とスピードで狙ったところに打てることが、テニスで重要なこと」と、ムラトグルは言う。写真:スマッシュ編集部

「テニスとは最終的には、ボールをどこにどう打つかの競技です。スピード、そしてスライスやトップスピンなどの回転……それがまずは基礎にあり、あとはテクニックではなく、戦略・戦術の勝負です。もちろん、テクニックはあらゆる戦略を可能にするためのツールですが、特定のルールはありません。トップ100の選手には、100通りのテクニックがあります。

 大切なのは、そのテクニックであらゆる回転を掛けたボールを、自分の望んだコースに望んだスピードで打てるかです。それができるのであれば、私は、どんな打ち方でも問題視しません。コーチは時に技術に拘泥しすぎ、自分が理想とするフォームで打つことを選手に求めます。でも重要なのはそこではない。私は、ボールをいかに感じられるか、そしてどうポイントを取るかを重要視しています」。


 そのような指導理念と哲学を持つ彼の目には、日本の若い選手たちはどう映っているだろうか?
 
「日本のテニス選手は、とても良く訓練されていると思います。ただ、自分がやりたいと感じたことに対し、責任を持つことを恐れているのではないでしょうか? 自己表現するよりも、良い生徒であることを重んじているように感じることがあります。

 ですから日本のコーチたちには、大切なのは個性を重視し、自分を表現させ、そしてそれを評価することだと言っています。練習の時には、やりたいと思ったことをまずやらせ、失敗してもいいのだ、それが学習のプロセスなのだからと教え子に伝えるべきです。自分を表現することが、自信に繋がります。チャンピオンと呼ばれる人たちは皆、自信がみなぎっており、個性が強い。自分のやることに誇りを持っています」。

 
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