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海外テニス

過密日程に不満のテニス選手に向け、英指導者が反論「自分たちのツアーを激しく攻撃するのは自滅行為」<SMASH>

スマッシュ編集部

2025.10.24

最近はアルカラス(左)やシフィオンテク(右)らトップ選手による過密日程に対する不満が発信されているが、英国指導者のマーク・ペッチー氏(中)はそうした意見には否定的だ。(C)Getty Images

最近はアルカラス(左)やシフィオンテク(右)らトップ選手による過密日程に対する不満が発信されているが、英国指導者のマーク・ペッチー氏(中)はそうした意見には否定的だ。(C)Getty Images

 シーズン終盤を迎え、テニス界で再び議論の的となっているのが過密スケジュール問題だ。男子世界ランキング1位のカルロス・アルカラス(スペイン)は、「義務的な大会が多すぎる。負担が大きくなりすぎている」と苦言を呈し、女子世界2位のイガ・シフィオンテク(ポーランド)は「大舞台は好きだけれど、かなり疲れた状態でプレーしている」と訴えるなど、2025年を通してトップ選手から懸念の声が断続的に上がっていた。

 先週にはホルガー・ルネ(デンマーク/現世界ランキング10位)が「BNPパリバ・ノルディック・オープン」(スウェーデン・ストックホルム)の試合中にアキレス腱を断裂するアクシデントが発生してしまった。彼の母アネケはデンマークのメディアを通じて「選手たちに非現実的なプレッシャーがかかっている」とATPのツアー運営を批判し、出場義務規定により休養の時間がほとんどないことを訴えた。

 これを機に、ジャック・ドレイパー(イギリス/同9位)も「僕らはエリートスポーツで、本来ならやってはいけないことを身体に強いている」とSNS上で懸念を表明。世界4位のテイラー・フリッツ(アメリカ)もこれに同調している。

 しかし、そんな流れに真っ向から異を唱えた人物がいる。エマ・ラドゥカヌ(イギリス/同29位)の元コーチで、英国テニス界で発言力のあるマーク・ペッチー氏だ。彼は自身のXでこう投稿した。
 
「選手やチームメンバーが自分たちのツアーを公に激しく攻撃するのは、悪手であり、ビジネス的には自滅行為に等しい。テニスを愛する人はテニスを見る。しかし、テニスを愛していない人は、マルチミリオネア(裕福な人々)が愚痴をこぼすスポーツなんて見ない。それは興ざめだ。多くの人は、選手たちが批判している過酷な日程をむしろ喜んで受け入れるだろう。メディアに手榴弾を投げ込むだけでは、このスポーツを成長させることはできない」

 さらにペッチー氏は、例を挙げて持論を補強した。

「(ヤニック・)シナーはツアーを3カ月欠場し、4つのマスターズ大会を逃したが、レースランキングで2位につけている。現実的に考えれば、どれだけ大会に出るかは選手自身が決められる。出場を控えれば、失うのはボーナスプールの分け前だけで、誰も強制されているわけではない」

 つまり、ツアーに参加するか否かは最終的に自己判断であり、「ATPが選手を酷使している」と一概には言えないという主張だ。彼はそのうえで、SNS上で繰り広げられる集団的な不満の高まりにも釘を刺す。

「多くの選手やその家族がスケジュールについて発言している。今回、ブレーキの壊れたバンドワゴンが坂を転がり落ちるように議論が広がっているのを見て、私なりの見解を述べただけだ」

 この投稿には、ロジャー・フェデラー(スイス)の元コーチ、イワン・リュビチッチ(クロアチア)が「Spot on(その通り)」と賛同のコメントを寄せ、元世界3位のスタン・ワウリンカ(スイス/同158位)を支えたマグヌス・ノーマン(スウェーデン)も拍手の絵文字で反応。選手としての経験も豊富な指導者たちが揃って同調した。ペッチー氏の辛辣な一言が、テニス界の大きな課題を改めて浮き彫りにした。

構成●スマッシュ編集部

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