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海外テニス

世界3位のトッププレーヤーと糖尿病患者の顔を併せ持つズベレフが財団のチャリティで示したもう一つの使命<SMASH>

スマッシュ編集部

2025.11.21

幼少の頃から1型糖尿病を患っているズベレフが、同じ境遇にある子どもたちを支援するために自身で設立した財団を通じてチャリティイベントを開催した。(C)Getty Images

幼少の頃から1型糖尿病を患っているズベレフが、同じ境遇にある子どもたちを支援するために自身で設立した財団を通じてチャリティイベントを開催した。(C)Getty Images

 男子テニス世界3位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)が、競技とは別の意味を持つ一戦に臨んだ。自身が2022年に立ち上げた「アレクサンダー・ズベレフ財団」による年次チャリティイベントで、同じ1型糖尿病を抱えるパトリック・ザラジ(ドイツ/世界ランキング267位)とエキジビションマッチを行なったのだ。

 同財団は、糖尿病の子どもたちがスポーツや教育の機会を得られるよう支援することを目的に設立されたもので、今年のガラナイト(財団主催のチャリティイベント)では10万3000ユーロ(約1870万円)の寄付が集まった。そのイベントのハイライトとなったのが、このエキジビションマッチである。

 ズベレフ自身は4歳で1型糖尿病と診断され、その事実を2022年に公表した。それ以来、同じ疾患と向き合う子どもたちに向けて積極的にメッセージを発信してきた。今回の試合も、同じ状況を共有する選手と共に、患者のロールモデルとしての姿勢を示す場となった。

 試合後、ザラジは病と共に生きることをこう表現した。

「僕たち1型糖尿病の選手は、もう一つの試合を同時に戦っているようなものです。テニスをするだけではなく、できるだけ血糖値を管理しようとしているんです」

 そしてズベレフも率直なコメントで疾患と向き合う現実を淡々と語りながら、同じ道を歩む子どもたちを励ました。

「朝起きて最初に確認するのは血糖値です。夜、最後にするのは長時間作用型インスリンの注射です。糖尿病があっても普通の生活を送れるし、この病気を隠すべきではありません」
 
 ズベレフは、四大大会3度の決勝進出を誇るトッププレーヤーでありながら、同時に糖尿病と共に生きる子どもたちの希望でもある。2つの役割を自然に両立しようとする姿勢が、このチャリティイベントでは鮮明に浮かび上がっていた。

 なお、イベント後、ズベレフはその日のうちにボローニャへ移動し、国別対抗戦「デビスカップ・ファイナル8」(11月18日~23日/イタリア・ボローニャ)に出場するドイツ代表チームに合流した。

 夜間フライト禁止のなか特別許可を得ての移動で、非常にタイトなスケジュールだった。だが、本人のコンディションはここへ来て明らかに向上。直近の「ATPファイナルズ」こそラウンドロビン敗退となったが、10月の「エルステ・バンク・オープン」(オーストリア・ウイーン)で準優勝、続く「パリ・マスターズ」でベスト4と、ツアー終盤の戦いぶりは安定していた。

 そして迎えたデビスカップ準々決勝のアルゼンチン戦に出場したズベレフは、チームの勝利がかかる一戦で貴重な1勝をマーク。これにより準決勝進出を果たしたドイツは、スペインと対戦することになった。

構成●スマッシュ編集部

【画像・動画】ズベレフのチャリティイベントの様子とデ杯アルゼンチン戦ハイライト

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