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海外テニス

快勝でも拭えない“葛藤”。「1ミリもうれしくない」と本心を紡ぐ錦織圭の慶應チャレンジャー復帰2戦目<SMASH>

内田暁

2025.11.21

慶應チャレンジャー2回戦で韓国選手を下した錦織。快勝も喜びは薄く、「大丈夫かな」と自問しながら、復帰戦の手応えを模索する。写真:滝川敏之

慶應チャレンジャー2回戦で韓国選手を下した錦織。快勝も喜びは薄く、「大丈夫かな」と自問しながら、復帰戦の手応えを模索する。写真:滝川敏之

「勝っても、1ミリもうれしくないんで......」

 いつもの朴訥とした口調で、ポツリと彼が言った。

 スコア的には6-4、6-1の快勝である。それでも錦織圭は、「内容がやっぱり伴ってない。不満は多い」と、言葉を選びつつも本心を紡いだ。

「でも、これをやっていくしかないので、しょうがないですけど」

 そうも彼は、自分を説得するように続ける。

 現在、慶應大学日吉キャンパスで開催中の「横浜慶應チャレンジャー」は、男子テニスツアーの下部カテゴリー。大会第1シード、世界ランキング158位の錦織は、2回戦で374位のシン・サンヒ(韓国)に勝利し、3回戦へと歩みを進めた。

 今年8月以来、腰の疲労骨折のため戦線を離れていた錦織が、慶應チャレンジャーを復帰戦の場に選んだのは、回復のタイミングと合致したことが大きい。「一試合でもできるなら、来年のために」との思いもあった。ここから先を見据え、実戦に身体を慣らす意味合いが強かったはずの、日本大会。

 だがやはり試合となれば、種々の葛藤やジレンマに襲わる。2回戦に挑むに際しては、どのようなプレーをすべきか、「めちゃくちゃ迷った」と打ち明けた。
 
「じっくりテニスをした方が、自分の調子が戻ってくるのかなと思った。なんだかんだ言っても、ラリーをしないことには多分調子が戻ってこないので、なるべくエラーを減らして、ゆっくり入ろうと思いながら試合に入りました」

 はやる気持ちをなだめるように、「じっくり打ち合い」を選択して立った、2回戦のコート。それでもリターンで始まった最初のゲームは、相手のミスやダブルフォールトもあり、ブレーク発進となった。

 続く自身のサービスゲームは、ミスが重なり0-30に。ただそこから、錦織のプレーや纏う雰囲気が、一気に変わった感があった。バックハンドの逆クロスから、前に出て決めるボレー。サービスからの3球目を、迷いなくストレートに打ち込むウイナー。そうして相手の意識を左右に振ってから、ネット際に沈める柔らかく残酷なドロップショット。最後もフォアハンドのアングルショットと、4連続ウイナーでキープした。
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