プロテニス選手は、高度なショットをいとも簡単に叩き込む。なぜあんなボールが打てるのか？ その秘訣をプロ本人に明かしてもらうシリーズ。今回は早稲田大学出身のサウスポー、日本ランキング最高９位の清水映里選手の３回目。ボールを厚く捉えるフラットサービスについて教えてもらった。

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　サービスは好きなショットですが課題でもあり、これまで必要に応じて色々変えてきました。グリップチェンジしたり、足の寄せ方を変えたり...。大学時代はよく１人でカゴのボールを打つ練習もしましたね。

　この写真はアドサイドからセンターを狙ったフラットサービスです。私の場合は、スピードはそれほど速くないぶんコースを重視していて、最近は自分が狙った場所に安定して打てるようになってきました。

　技術的に意識しているのは、まず構えの段階から姿勢を真っすぐにすることです（写真１コマ目）。クネクネして軸がブレないように、姿勢をキープしてトスを上げ、そのままタメを作り、ボールに向かって力を伝える。特に肩を上下させないことが大切で、なるべく両肩を水平にキープしてトスを上げるようにしています（２コマ目）。

　これは大学時代に鈴木貴男さんに教えてもらったんです。私はトスの際に後ろの肩が下がりやすく、それが目線やトス、打点のブレにつながっていました。肩の高さを変えないように心掛けたら、そうしたブレもなくなりましたね。
  　同時に、トスをあまり高く上げすぎないこと。風が強かったりすると、それもブレにつながるので、トスの最高点を打点よりもラケット１本分くらいの所に抑えるようにしています（３コマ目）。

　あと、タメを作るといっても、時間が長すぎると勢いがつきません。クイック気味にタメるのがコツ（３～４コマ目）。短めにタメたものを、短い距離で遠回りせず、力が逃げないうちに伝えるというイメージです。

　腕の使い方については、スナップを効かせて“ボールの真裏”を打つのがポイントです（７コマ目）。そして打点を高く取り、しっかり上から振り下ろします。センターを狙ったフラットは、スライスがかかると甘く入るので、スナップによって厚く捉える必要があります。

　スナップというのは手首を前に折るのではなく、ヒジを軸にして内転（回内）するような感じで、よく言われる「プロネーション」のことです。８コマ目を見ると面がかなり外を向いており、自分でも結構返しているんだなと感じます。

　最後に左足が高く上がっているのは、昔からのクセ（10コマ目）。特に意識はしておらず、打つ時に足を強く蹴った結果だと思います。

【プロフィール】清水映里／しみずえり
1998年５月28日、埼玉県生まれ。161cm、左利き。早稲田大学時代にインカレ、インカレ室内を制し、卒業後プロ転向。女子選手屈指のフォアハンドの強打を誇り、2020年にニュージーランドのITFツアーW15で初優勝、23年全日本選手権ではベスト４入り。24年にはWTAランキング最高296位、国内最高９位をマークする。Totsu所属。

構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2024年５月号より再編集

【連続写真】ボールを厚く捉えた清水映里のフラットサービス『30コマの超分解写真』

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