男子テニスツアーを統括するATP(男子プロテニス協会)は、プロテニスを新たな高みに導くことを目標とする「One Visionプロジェクト」の一環で、2023年シーズンから四大大会に次ぐグレードを誇るマスターズ1000大会の開催期間およびドロー数を、従来の8日間・56ドローから12日間・96ドローに拡大している。
同プロジェクトはツアーの成長戦略として積極的に推進され、今や従来のフォーマットを維持しているのは全9大会中、モンテカルロ(クレーコート)とパリ(室内ハードコート)の2大会だけだ。
改革の成果は明確に表れている。ATPのアンドレア・ガウデンツィ会長(イタリア/52歳)によれば、改革からわずか2年ほどで1830万ドル(約26億9400万円)もの莫大な利益がもたらされ、以前には「数百億円規模のインフラ投資や選手への直接的な利益還元にもつながった」と手応えを語っていた。おそらく今後もATPは、こうした経済的成果を背景に、「One Visionプロジェクト」を継続・発展させていく考えだろう。
しかし、周知の通り2週間開催のマスターズについては現役選手からも批判の声が噴出している。今年4月の「バルセロナ・オープン」(クレー/ATP500)では、現世界1位のカルロス・アルカラス(スペイン)が「1週間開催の方がいい」と非難。昨年には元3位のステファノス・チチパス(ギリシャ/現34位)も「改悪だと思う」と糾弾していた。
加えて今年10月の男子ツアー公式戦「BNPパリバ・ノルディック・オープン」(室内ハード/ATP250)で左足アキレス腱を断裂し、現在は懸命なリハビリに励んでいる22歳で元4位のホルガー・ルネ(デンマーク/現15位)も同様の意見を述べている。先日応じた米総合スポーツメディア『Sports Illustrated』で過酷すぎるツアースケジュールに触れつつ、次のように語った。
「僕は自分を爆発力のある選手の一人だと思っているが、疲労やスケジューリングはまた別の問題だ。今のツアーは毎年1月から11月末まで、ほぼ毎週試合があるのが現状で、それが回復をより難しくしている。
本当に良いプレーができていたから、ストックホルムに出場したこと自体は後悔していない。ただ全体的に大会が多すぎて、タフなのも事実。これは僕だけの問題ではないと思う。我々は他にもケガをして、シーズンを通してプレーできなくなった選手を見てきた」
そう語った上で22歳は「特に2週間開催のマスターズは完全に不要だと思う」と強く主張。「それについては多くのトップ選手と話したが、彼らも同様の考えを持っているように感じた。だからこそ本当に高いフィットネスのレベルが非常に重要になる。今のテニスは非常にフィジカルなスポーツだ」と締めくくった。
マスターズ改革は数字の上では成功を収めているが、その陰で選手の身体が摩耗しているのもまた事実だ。ルネの訴えは、2週間開催という新たな“常識”が本当に持続可能なのかを問いかけている。
文●中村光佑
【動画】戦線復帰を目指してリハビリに励むルネの近影
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同プロジェクトはツアーの成長戦略として積極的に推進され、今や従来のフォーマットを維持しているのは全9大会中、モンテカルロ(クレーコート)とパリ(室内ハードコート)の2大会だけだ。
改革の成果は明確に表れている。ATPのアンドレア・ガウデンツィ会長(イタリア/52歳)によれば、改革からわずか2年ほどで1830万ドル(約26億9400万円)もの莫大な利益がもたらされ、以前には「数百億円規模のインフラ投資や選手への直接的な利益還元にもつながった」と手応えを語っていた。おそらく今後もATPは、こうした経済的成果を背景に、「One Visionプロジェクト」を継続・発展させていく考えだろう。
しかし、周知の通り2週間開催のマスターズについては現役選手からも批判の声が噴出している。今年4月の「バルセロナ・オープン」(クレー/ATP500)では、現世界1位のカルロス・アルカラス(スペイン)が「1週間開催の方がいい」と非難。昨年には元3位のステファノス・チチパス(ギリシャ/現34位)も「改悪だと思う」と糾弾していた。
加えて今年10月の男子ツアー公式戦「BNPパリバ・ノルディック・オープン」(室内ハード/ATP250)で左足アキレス腱を断裂し、現在は懸命なリハビリに励んでいる22歳で元4位のホルガー・ルネ(デンマーク/現15位)も同様の意見を述べている。先日応じた米総合スポーツメディア『Sports Illustrated』で過酷すぎるツアースケジュールに触れつつ、次のように語った。
「僕は自分を爆発力のある選手の一人だと思っているが、疲労やスケジューリングはまた別の問題だ。今のツアーは毎年1月から11月末まで、ほぼ毎週試合があるのが現状で、それが回復をより難しくしている。
本当に良いプレーができていたから、ストックホルムに出場したこと自体は後悔していない。ただ全体的に大会が多すぎて、タフなのも事実。これは僕だけの問題ではないと思う。我々は他にもケガをして、シーズンを通してプレーできなくなった選手を見てきた」
そう語った上で22歳は「特に2週間開催のマスターズは完全に不要だと思う」と強く主張。「それについては多くのトップ選手と話したが、彼らも同様の考えを持っているように感じた。だからこそ本当に高いフィットネスのレベルが非常に重要になる。今のテニスは非常にフィジカルなスポーツだ」と締めくくった。
マスターズ改革は数字の上では成功を収めているが、その陰で選手の身体が摩耗しているのもまた事実だ。ルネの訴えは、2週間開催という新たな“常識”が本当に持続可能なのかを問いかけている。
文●中村光佑
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