2024年ももう少しで終わります。今年はテニス界に動きがあった年でした。女子はアリーナ・サバレンカが安定してきて、イガ・シフィオンテクとの2強時代となりました。シフィオンテクはクレーで強く、サバレンカはハードコートが得意。グランドスラムの2大会はハードコートなので、少しサバレンカが有利な感じがします。
サバレンカは今年、サーフェスの違いによる戦い方や2週間のグランドスラムでの戦い方ができてきたように思います。加えて、自分の体調に合わせて、止めるべき大会は出場を止めるなど、目先の結果ではなく、しっかりとした目標設定がある中で戦っていたように感じました。それが安定につながっているのでしょう。
ココ・ガウフも最終戦で優勝して、2強に次ぐポジションをしっかりと確立しました。まだ波がありますが、成長を感じられます。
今年一番印象が強いのはジェン・チンウェンの躍進でしょう。彼女は手足が長くてサービス、フットワークもいいですね。まだ改善の余地がある状態で、世界ランク5位にまで来ているのが、末恐ろしいところです。彼女のしぶとく攻撃し続けられる力と、しっかりとフィニッシュに持っていけるテニスは、育成をしている側から見ると羨ましい限りです。
イタリアのジャスミン・パオリーニもブレークしましたし、いろんなプレースタイルの個性ある女子テニスは選手が揃い始めて面白くなってきました。
男子ではノバク・ジョコビッチの影が薄くなりました。グランドスラムを1つも取れていないのは時代が流れている証とでも言えるでしょうか。オリンピックを取ったことで燃え尽きた部分もあると思います。加えて、ビッグ4が自分以外いなくなり、次のジェネレーションのテニスに合わせることが、まだできていないようです。
そんな中、アンディ・マリーをコーチに迎い入れるニュースがありました。新たなモチベーションを注入させるためにチームの体制に変化をすぐに入れるところがやはりトップ選手であり、目的がはっきりしていることが感じられます。この動きがジョコビッチにとってどう影響が出るのか楽しみです。
ヤニック・シナーとカルロス・アルカラスがグランドスラムを2つずつ分け合い、シナーが1位で終えました。シナーの1位が今後続くのかは少し疑問です。今が完成している状態で、どこか変えるところがあるのかと考えると、今後どう強くなっていくのか見えない感じがします。
アルカラスはローランギャロスではナダルの後を継いで圧倒的な力を示すことは想定されますが、ウインブルドンのタイトルも取れているのは、さらなる進化に向けての好材料だと思います。昨年ほどのインパクトはありませんでしたが、これからも進化しそうです。
日本男子は、ダニエル太郎選手、西岡良仁選手が頑張っていますし、島袋将選手、トゥロター・ジェームズ選手、望月慎太郎選手も育ってきました。男子もトップ100にいることが当たり前になってきたように感じます。錦織圭選手は復活して存在感を見せてくれました。復活はうれしいことですが、以前から言っているように彼に頼りすぎないことです。若い選手が育っているという点に目を向けていきましょう。
日本女子は、大坂なおみ選手が戻ってきて、柴原瑛菜選手がランキングを上げました。柴原選手には驚きましたが、彼女の場合はダブルスでツアーを知っていたことが、大きな要素になったように思います。石井さやか選手と齋藤咲良選手、伊藤あおい選手も活躍しました。彼女たちが100位以内に定着できるようになれば、日本女子テニスの強い希望の光となります。今年はその光を少し感じられるようになった年でした。来年に期待しましょう。
文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン
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サバレンカは今年、サーフェスの違いによる戦い方や2週間のグランドスラムでの戦い方ができてきたように思います。加えて、自分の体調に合わせて、止めるべき大会は出場を止めるなど、目先の結果ではなく、しっかりとした目標設定がある中で戦っていたように感じました。それが安定につながっているのでしょう。
ココ・ガウフも最終戦で優勝して、2強に次ぐポジションをしっかりと確立しました。まだ波がありますが、成長を感じられます。
今年一番印象が強いのはジェン・チンウェンの躍進でしょう。彼女は手足が長くてサービス、フットワークもいいですね。まだ改善の余地がある状態で、世界ランク5位にまで来ているのが、末恐ろしいところです。彼女のしぶとく攻撃し続けられる力と、しっかりとフィニッシュに持っていけるテニスは、育成をしている側から見ると羨ましい限りです。
イタリアのジャスミン・パオリーニもブレークしましたし、いろんなプレースタイルの個性ある女子テニスは選手が揃い始めて面白くなってきました。
男子ではノバク・ジョコビッチの影が薄くなりました。グランドスラムを1つも取れていないのは時代が流れている証とでも言えるでしょうか。オリンピックを取ったことで燃え尽きた部分もあると思います。加えて、ビッグ4が自分以外いなくなり、次のジェネレーションのテニスに合わせることが、まだできていないようです。
そんな中、アンディ・マリーをコーチに迎い入れるニュースがありました。新たなモチベーションを注入させるためにチームの体制に変化をすぐに入れるところがやはりトップ選手であり、目的がはっきりしていることが感じられます。この動きがジョコビッチにとってどう影響が出るのか楽しみです。
ヤニック・シナーとカルロス・アルカラスがグランドスラムを2つずつ分け合い、シナーが1位で終えました。シナーの1位が今後続くのかは少し疑問です。今が完成している状態で、どこか変えるところがあるのかと考えると、今後どう強くなっていくのか見えない感じがします。
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日本男子は、ダニエル太郎選手、西岡良仁選手が頑張っていますし、島袋将選手、トゥロター・ジェームズ選手、望月慎太郎選手も育ってきました。男子もトップ100にいることが当たり前になってきたように感じます。錦織圭選手は復活して存在感を見せてくれました。復活はうれしいことですが、以前から言っているように彼に頼りすぎないことです。若い選手が育っているという点に目を向けていきましょう。
日本女子は、大坂なおみ選手が戻ってきて、柴原瑛菜選手がランキングを上げました。柴原選手には驚きましたが、彼女の場合はダブルスでツアーを知っていたことが、大きな要素になったように思います。石井さやか選手と齋藤咲良選手、伊藤あおい選手も活躍しました。彼女たちが100位以内に定着できるようになれば、日本女子テニスの強い希望の光となります。今年はその光を少し感じられるようになった年でした。来年に期待しましょう。
文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン
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