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海外テニス

シフィオンテクが処分の不平等を批判する声に反論!「ケースがそれぞれ異なる。シナーやハレップと比較するのは難しい」<SMASH>

中村光佑

2024.12.11

シナー(右上)はほぼお咎めなし、ハレップ(右下)は当初4年間の出場停止処分を受けた。シフィオンテク(左)はそれぞれケースが異なり、比較すべきではないと主張する。(C)Getty Images

シナー(右上)はほぼお咎めなし、ハレップ(右下)は当初4年間の出場停止処分を受けた。シフィオンテク(左)はそれぞれケースが異なり、比較すべきではないと主張する。(C)Getty Images

 テニス界で波紋を広げているドーピング問題。最近は選手によって処分の内容が大きく異なっている印象を受ける。イガ・シフィオンテク(ポーランド/女子世界ランク2位)は約1カ月の出場停止処分で済み、ヤニック・シナー(イタリア/男子1位)に至っては3月の「BNPパリバ・オープン」(ATP1000)での賞金とランキングポイントの没収のみで出場停止処分はなかった。

 一方で元女王のシモナ・ハレップ(ルーマニア/現877位)は4年間の資格停止(※その後9カ月に軽減)、カミール・マイフシャク(ポーランド/男子120位)は13カ月にわたって出場不可となり、その差は歴然だ。

 テニスの不正行為を監視する第三者機関「ITIA」の調査の結果、直近のシフィオンテクの陽性反応は彼女が時差ぼけ解消のため服用していた薬にトリメタジジン(血管を広げて血流を良くする物質)が混入したことが原因と判明。本人に過失がなかったため処分は12月4日に解除され、今のところ2025年シーズンの試合出場に影響はない。ハレップは自身とシフィオンテクに対するITIAの処分が大きく違うことに納得しておらず、「このような事態を理解するのは本当に不可能」とSNSで不満を綴っていた。

 シフィオンテクへの寛大な裁定にはネット上でもすぐさま賛否両論が上がり、多くのファンや専門家がシフィオンテクのケースをシナーやハレップのそれと比較して意見を述べている。しかしドーピング問題というのはどれも同じではないため、自身と他の選手を比べるべきではないと、騒動の当事者であるシフィオンテクは主張する。先日出演したポーランドのテレビ番組『Fakty po Faktach』で下記のようにコメントした。
 
「人々がこのような状況を過去に起きた他のケースと自動的に比較してしまうのは理解できるけど、実際にはそれらのケースはそれぞれ全く異なる。そして、無実を証明するまでのプロセスもまた異なると思う。私のケースとシナーやハレップ、マイフシャクのケースを比較するのは難しい。私たち一人ひとりが異なる問題に直面しているのだから」

 さらにシフィオンテクは、自身やシナーのような上位ランク選手が優遇されているという噂を否定。全ての選手に対して同じ規定に基づいた裁定が下されているはずだと強調した。

「これは選手(の地位)がどうこうというより、ITIAの問題だと思う。私の運命も他の選手の運命と同様に、彼らの判断に委ねられており、それぞれのケースがどうなるかも彼らが決める。私自身はそのプロセスが客観的なものであり、全てが規則に従って行なわれ、選手のステータスによって裁定が左右されているわけではないと信じている。ただそれが本当にそうなのかどうかは、ITIAに問いかけるべきことだと思う」

 だが現状選手によって扱いがバラバラなのは明らかであり、全てのケースで“同じ規定に基づいた裁定が下されている”かどうかは疑わしいところがある。まだしばらくは混乱が続きそうだ。

文●中村光佑

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