開幕が迫るテニス四大大会「全仏オープン」（５月25日～６月8日／フランス・パリ／グランドスラム／クレーコート）では、現地時間５月22日に各種目の組み合わせを発表。なんと男子シングルス１回戦で元世界ランキング４位の錦織圭（現62位）と前年覇者のカルロス・アルカラス（スペイン／同２位）が当たることとなり、大きな注目を集めている。

　両者は今回が初対決。初戦の相手がディフェンディングチャンピオンというのは、錦織にとっては何とも厳しい組み合わせとなったが、一方で願ったり叶ったりの展開と言っても過言ではない。というのも以前から錦織は対戦してみたい選手の１人に、今をときめくヤングスター、アルカラスの名前を度々挙げていたからだ。

　今年４月中旬の「マドリード・オープン」（ATP1000）に出場した際には、若手の強豪がひしめく現在のテニス界で「競争力を保つため」に、「自分のプレースタイルを調整し、変えることを強いられた」ものの、「その挑戦がいいモチベーションになっている」と語っていた35歳の錦織。

　生き残りをかけて磨いてきた新たなプレースタイルが、一回り以上年下の22歳ながら男子ツアーを牽引し続けているアルカラスにどこまで通用するのかが、今回の対決の注目ポイントとなるだろう。
  　対するアルカラスは今季序盤こそ苦戦を強いられていたが、得意のクレーコートシーズンで大きく調子を上げてきた。「モンテカルロ」（ATP1000）、「バルセロナ」（ATP500）、「ローマ」（ATP1000）の３大会に出場し、うち２大会で優勝。全仏オープンでのタイトル防衛に向けて自信を深めており、錦織が厳しい戦いを強いられるのは想像に難くない。

　それでも錦織ならではの巧みなショットメイキングで、若きヒーローに一矢報いる場面をぜひ期待したいものである。全仏オープンの開幕とともに訪れるファン待望のビッグマッチ。その一瞬一瞬が、記憶に残る名勝負となることを願いたい。

文●中村光佑

【動画】10分間で振り返る錦織圭の驚くべき「マジックショット」

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