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競馬

【名馬列伝】新時代の扉をこじ開けた第68代ダービー馬ジャングルポケット 東京競馬場を庭とした内国産馬の血脈

三好達彦

2025.09.10

01年の日本ダービーを制したジャングルポケット。東京コースでは3戦3勝と絶対的な強さを発揮した。写真:産経新聞社

01年の日本ダービーを制したジャングルポケット。東京コースでは3戦3勝と絶対的な強さを発揮した。写真:産経新聞社

 1988年の凱旋門賞(仏G1)を制し、社台グループが購買して日本で種牡馬入りしたトニービンは、生産界の予想を大きく上回る成功を収めた。初年度産駒からウイニングチケット(日本ダービー)、ベガ(桜花賞、オークス)、サクラチトセオー(天皇賞・秋)、ノースフライト(安田記念、マイルチャンピオンシップ)を出すと、以後もJRA・GⅠ勝ち馬を続けざまに輩出。特に産駒は東京競馬場で行なわれるGⅠで図抜けた強さを見せ、「府中のトニービンは買い」という評判が定着した。その決定打となったのが2001年の第68代ダービー馬、ジャングルポケットである。

 NHK『おかあさんといっしょ』で使われた楽曲のタイトルから名をとられたジャングルポケットは、北海道・早来のノーザンファームで誕生。フジキセキを管理したことで知られる渡辺栄の厩舎に預託され、2000年の夏にデビューの準備が整えられた。

 初戦となった9月の新馬戦(札幌・芝1800m)は単勝5番人気にすぎなかったが、のちに朝日杯3歳ステークス(GⅠ)を制するメイジロベイリーを他所に、2番手から抜け出すとタガノテイオーをクビ差抑えて勝利を収めた。そして、のちに二冠牝馬となるテイエムオーシャンも出走した札幌3歳ステークス(GⅢ、札幌・芝1800m)でも5番人気に甘んじたが、先団の5番手から鋭い末脚を使ってタガノテイオーを差し切ると、それに1馬身半差を付けて快勝。2戦2勝で重賞初制覇を遂げた。

 ここまでの2戦は千田輝彦が手綱をとったが、厩舎の所属騎手である角田晃一に鞍上をスイッチして迎えたのが3戦目となるラジオたんぱ杯3歳ステークス(GⅢ、阪神・芝2000m)。ここにはのちにGⅠ戦線を賑わす強豪2騎が待ち受けていた。それはアグネスタキオン、クロフネと、身震いしそうな顔ぶれである。ジャングルポケットはモンスターホース2騎とよく戦い、先に抜け出したクロフネは捉えたものの、アグネスタキオンには2馬身半差を付けられて完敗。2着に甘んじて2001年の戦いを終えた。
 
 クラシックシーズンの始動戦は共同通信杯(GⅢ、東京・芝1800m)。ライバル2騎がいないここでは力の違いを見せ、ジャングルポケットは中団から2番手まで押し上げて直線へ向くとラクな手応えで抜け出し、2着に2馬身差を付けて完勝。満点回答で試走を済ませた。

 一冠目の皐月賞(GⅠ、中山・芝2000m)はラジオたんぱ杯で土を付けられたライバルとの再戦となった。アグネスタキオンが1番人気でオッズは1.3倍。対するジャングルポケットはオッズ3.7倍の2番人気。3番人気のダンツフレームはオッズ16.8倍と支持率がかなり引き離されており、上位2頭の激突というムードが強く漂った。

 しかし勝負はあっさりと着いた。アグネスタキオンは先団の5番手あたりを進み、ゲートで躓いて出遅れたジャングルポケットは中団馬群後方の10番手に位置を取る。ペースは1000m通過が59秒9のスローで進み、恐るべき瞬発力を備えたアグネスタキオンが鮮やかに抜け出すと、後続をラクに抑えて快勝。ダンツフレームが1馬身半差の2着となり、ジャングルポケットはさらに半馬身差の3着に終わった。
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