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ラグビー

異色キャリアを経てジャパン初陣へ!木田晴斗「感慨深い」デビュー戦の裏側「自分の力はまだ半分しか出せていない」【ラグビー】

向風見也

2025.09.13

アメリカ戦で代表デビューを果たした木田。写真:西村尚己/アフロスポーツ

アメリカ戦で代表デビューを果たした木田。写真:西村尚己/アフロスポーツ

 情感を込めることはない。プロラグビー選手の木田晴斗は、念願の日本代表デビューを果たした喜びを落ち着いた口調で表現する。

「(戦前のミーティングで)ジャージーをもらってスピーチする時は、感慨深いものがありました」

 身長176センチ・体重90キロの26歳は滑らかで豪快。時にはあえて相手にタックルを「入らせ」ながら、ぶれない体幹を巧みに動かしてビッグゲイン、トライを狙う。チームに幅をもたらす左足のキックも冴え、現代ラグビーにあって不可欠なハイボールの競り合いも得意だ。

 

 堂々としたさまも魅力だ。どんな猛者と対峙する際も、躊躇なくラン、コンタクトを仕掛ける。「自分から行ったほうがいい方向に転ぶ」と知る。

 能動的なのはグラウンド外でも然り。中学1年まで続けた極真空手で小学4年時に世界王者となっていて、その時期に父親に「がんばります、ではない。しっかりと目標を口に出せ」と諭されていた。

だからひとかどの存在となるよりも前から、海外プロを目指すと公言していた。目標はいまも不変だ。

 自分があるから、周りが気にならない。これまで異色のキャリアを積んできたが、周りのエリートに過度なライバル心を抱かない。

「道が違うから。どの道が合っている、間違っているというのは、ないと思うんですよね。ただ、どの道でも、向上心を持って取り組むのが大事」

 小学5年で地元の兵庫にある宝塚ラグビースクールで楕円球に親しみ、私立受験をして入った関西大倉中ではラグビー部がないと見るや自分で作ってしまう。徐々に仲間を集め、3年目にゲームで勝てるようになったのは嬉しかった。

 創部を手伝ってくれた高校の土井川功監督への恩義から、内部進学した。

 激戦エリアの大阪の学校とあり、全国大会どころか地区予選に挑むのにも難儀したが、「向上心を培う意味ではその高校を選んで正解だった」。ひたすら坂道、階段を駆け上がり、もともと強かった身体のコアをさらに図太くした。
 
出世のチャンスを掴んだのは高校3年時。関西屈指の立命大のトレーニングへ混ぜてもらい、初対面の大学生にリクエストを出した。

攻撃練習で、ウイングの自分がよい形で抜けるサインを出してもらったのだ。

要求を通せば、先輩方を置き去りにした。情報理工学部のスポーツ推薦枠を得た。

いまいるクボタスピアーズ船橋・東京ベイとの縁も、早々に掴んだ。入学直後の同大との1年生試合で活躍し、名スカウトとして鳴らした前川泰慶・現ゼネラルマネージャーに惚れ込ませた。同氏の関西弁での謙遜ぶりで、当事者の才能がより際立つ。

「目利きとか、逸材を見つけたとか言ってもらえますけど、晴斗なんて誰がどう見たって凄いやないですか」
 
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